福本和夫

没年月日:1983/11/16
分野:, (学)

 マルクス主義理論家で、昭和初年のプロレタリア美術運動にも大きな影響を及ぼした福本和夫は、11月16日肺炎のため神奈川県藤沢市の自宅で死去した。享年89。明治27(1894)年鳥取県東伯郡に生まれ、大正9年東京帝国大学法学部政治学科を卒業、同11年から文部省在外研究員として欧米に留学、ヨーロッパのロシア革命後の雰囲気の中でマルクス主義研究に専念し、同13年に帰国する。帰国後、マルクス主義の日本移植のために活発な執筆活動を展開し、特に当時支配的だった山川均の理論を痛烈に批判したいわゆる急進的な福本イズムは、日本プロレタリア文芸連盟(大正14年)から労農芸術家連盟、前衛芸術家連盟(ともに昭和2年)へと分裂をくり返すプロレタリア芸術運動の展開に大きな影響を与えた。一方、獄中にあった戦前の昭和16年、高見沢版北斎画の「凱風快晴」を差し入れてもらったことから北斎芸術及び浮世絵に関心を寄せるようになり、戦後、『北斎の芸術』(昭和22年北光書房)、『北斎と写楽』(同24年、日高書房)、『北斎と印象派、立体派の人々』(同30年、昭森社)、『北斎と近代絵画』(同43年、フジ出版社)等を発表するに至っている。また、戦後は戦前から着想した日本ルネサンス史論の執筆に力を注ぎ、同42年東西書房から上梓した。その他、フクロウ、捕鯨などの研究でも知られる。

出 典:『日本美術年鑑』昭和59年版(319頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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