田沢坦

没年月日:1986/07/01
分野:, (学)

 東京国立博物館評議員、武蔵野美術大学名誉教授、元奈良国立文化財研究所所長の田沢坦は、7月1日午前11時43分、脳内出血のため川崎市宮前区の聖マリアンナ病院で死去した。享年84。明治35(1902)年1月21日、神奈川県横須賀市に生れる。大正14年に東京帝国大学文学部美術史学科を卒業し、同学大学院に3ケ年在学の後、昭和3年6月に東大史料編纂所嘱託となる。同7年7月、文部省国宝保存に関する調査計画等の嘱託、同17年8月、美術研究所(現、東京国立文化財研究所)所員に任ぜられ、同22年5月、東京国立博物館資料課長、同26年2月、同館工芸課長となる。同28年2月、前年4月に設立された奈良国立文化財研究所々長に任命され、同34年6月からは東京国立文化財研究所美術部長を37年4月まで務めた。その後、37年4月より49年3月まで、武蔵野美術大学教授、49年3月には武蔵野美術大学名誉教授となった。またこの間には、共立女子専門学校(昭和3年4月~昭和17年3月)、東京女子大学(昭和7年9月~昭和17年9月)、東京大学文学部(昭和17年4月~昭和29年3月)に講師として出講し、美術史教育にも力をつくした。さらに、昭和41年5月より57年6月まで、財団法人元興寺文化財研究所所長・常務理事をつとめ、文化財保護審議会専門委員(第一分科会絵画彫刻部会・第二分科会建造物部会)、東京国立博物館評議員、畠山記念館評議員、佐野美術館理事なども務め、活躍の場は広きにわたった。その研究も日本美術の各時代、分野にわたるもので、昭和8年9月に大岡實と著した『図説日本美術史』(岩波書店)がよくその性格を示している。本書は多くの人に愛され、同31年11月に改訂版が出された。その他業績には以下のようなものがある。「飛鳥以前」(座右宝2)、「飛鳥奈良時代の絵画と工芸」(月刊文化財21)、「飛鳥時代の工芸上・下」(国博ニュース4、5)、「工芸の形姿」(MUSEUM22)、「平安時代工芸美術の特色」(『日本の文化財』1巻 第一法規)、「桃山時代の工芸上・下」(国博ニュース51、52)、「江戸時代の工芸」(月刊文化財132)「日本彫刻小史」(アルス・グラフ6)、「平安初期に於ける木造彫刻の興隆に関して上・下」(美術研究128、129)、「浄土教の普及と阿弥陀堂」(月刊文化財56)、「鎌倉時代の彫刻に就て」(日本諸学振興委員会研究報告13)、「鎌倉時代の彫刻に就て」(大和文化研究2)、「東大寺中性院本造菩薩(弥勒)像」(美術研究212)、「鎌倉大仏に関する史料集成稿」(美術研究217)、『南無阿弥陀仏作善集』(奈良国立文化財研究所史料第1冊)、「南無阿弥陀仏作善集註解稿1」(武蔵野美術大学研究紀要1)、「薬師寺の絵画」(『薬師寺』実業之日本社)、「大陸文化の影響」(『世界美術全集』6巻 角川書店)など。

出 典:『日本美術年鑑』昭和62・63年版(321頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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