伊藤幾久造

没年月日:1985/07/14
分野:, (挿)

「快傑黒頭巾」「まぼろし城」などの挿絵で知られる挿絵画家伊藤幾久造は、7月14日午前10時19分、心不全のため東京都文京区の東京健生病院で死去した。享年84。明治34(1901)年7月13日東京日本橋区に生まれ12歳の頃松本楓湖門下で四条派の画家中山秋湖に入門するが飽き足らず、16、7歳で伊東深水に学び始める。大正9年、深水の紹介で博文館発行の『講談雑誌』に大仏次郎作「鞍馬天狗-御用盗異聞」の挿絵を描いてデビュー。同11年頃より講談社の『少年倶楽部』に執筆を始め、時代物を中心に活躍。満州事変以降は戦争画にも筆を奮い、昭和11(1936)年『講談社の絵本』第1号に池田宣政作「乃木大将」の挿絵を描いて『講談社の絵本』の型式を定着させた。同じ頃『少年倶楽部』に高垣眸作「快傑黒頭巾」「まぼろし城」の挿絵を描き原作の怪奇的イメージを巧みに絵画化して人気を博した。第二次世界大戦中は歴史的人物、特に戦国武将の伝記の挿絵を担当。戦後も主に少年向け雑誌に時代物やSFの挿絵を描いたが、同35年頃からの漫画ブーム以後は一線を退いた。代表作として、他に白井喬二作「神変呉越草紙」、海野十三作「火星兵団」「地球要塞」などがある。

出 典:『日本美術年鑑』昭和61年版(254頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「伊藤幾久造」『日本美術年鑑』昭和61年版(254頁)
例)「伊藤幾久造 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10183.html(閲覧日 2024-04-25)

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