勝本冨士雄

没年月日:1984/04/26
分野:, (洋)

モダンアート協会会員で、一貫して抽象画を描き続けた洋画家の勝本冨士雄は、4月26日午前9時24分、肝不全のため東京都千代田区の三井記念病院で死去した。享年58。大正15(1926)年1月10日、石川県七尾市に生まれる。鉄道学校機関科を卒業後、京都市立絵画専門学校に入るが中退。昭和21年より自由美術家協会展に出品。同26年荒井龍男村井正誠山口薫らの創立したモダンアート協会第1回展に招待出品。翌年同会会員となり出品を続ける。初期には細かい四辺形の色面を複雑に構成した「野性」のシリーズ、同35年頃からアクション・ペインティングの影響を思わせる即興的な筆のタッチと絵具のマチエルをいかした「白」のシリーズを描き、同40年頃から作風は曲線を含む整った幾何学的傾向を強め、画面形体、マチエルの多様性などの研究が試みられた。アジア青年美術展(同33年)、パリ国際青年美術展(同36年)、現代アジア美術展(同40年)など国際展にも出品、版画も手がけ、東京国際版画ビエンナーレ(同39年)、バンクーバー国際版画ビエンナーレ(同42年)に出品する。「科学性と精神性の格闘の現れ」として美術を位置づけ、明快な色調と形体を追求した。
モダンアート展出品歴
第2回(昭和27年)「洪水」「夜の門」「漂流」「冬の旅」「夜」「朝の窓」「帆船」、3回「朝」「夜」「夜から夜へ」「夜」「朝」「小さな子供」「小さな窓」「港」、4回「フィギュール1」「フィギュール2」「フィギュール3」「フィギュール4」「フィギュール5」、5回(同30年)「角のフォーム」「夜の壁」「円のフォームA」「フォームの間」「円のフォームB」、6回「野性の要素B」「野性の要素A」「荒野のブドウ」、7回「静かなる野性1」「静かなる野性3」、8回「作品A、B」、9回「内なる野性6」「内なる野性5」、10回(同35年)「内部の形象」「レモン・イエロー」「内なる赤い森」、11回「作品-白」「白の形象」、12回「作品-白-61」「作品-白と赤62」、13回「白の中の赤とブルー」「作品-白の菱形」、14回「白い菱形12」「白い菱形10」、15回(同40年)「白い菱形の中に」「白い菱形-28」、16回「白いスペースの中に-10」「白いスペースの中に-12」、18回「Rising Sun-白い菱形」「Rising Sun-8」、19回「Five o’clock a.m.」「Five o’clock a.m.」、20回(同45年)「Five o’clock a.m.」「黎明-A.M.5」、21回「白い世界」、22回「白と赤スペース」「ライジングサン」、23回「Rising Sun-白」「Rising Sun-赤」、24回「黎明-黒」「黎明-白」、25回(同50年)「Rising Sun」「スペースの中で」、26回「黎明-76」、27回「鋭角からの円-Rising Sun」、28回「Rising Sun-白の世界」、29回「鋭角の雲」「鋭角のイエロー」、30回(同55年)「鋭角の雲-風雲」、31回「内なる鋭角-黎明」、32回「鋭角からの地平-5」、33回「群青誕生」

出 典:『日本美術年鑑』昭和60年版(248頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「勝本冨士雄」『日本美術年鑑』昭和60年版(248頁)
例)「勝本冨士雄 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10107.html(閲覧日 2024-04-18)

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