【1891.01.23】

一月二十三日附 グレー發信 母宛 封書

 (前略)ことしの寒さハいつもニないさむさでしたがこの二三日はだもちがすこしかわりましていまでハそんなニさむくなくなりましてゆきどけやしもどけでじくじくしてきたないことですがつよいさむさよりもよろしゆうございます もうすこしあたゝかニなりましたらいまよりももうちつとつめてべんきようをするかんがへでございます いまのところてハひとをたのんでゑをかくのでもへやのなかニどんどんひをたいたりまたそれでもすこしさむいといへばなニかかけてやつたりしなければならずなかなかいまのところでハおもうようニはべんきようハできまんせよ たゞまいにちなニかかいかしてをるといふくらいのことです こないだももうしてあげましたとうりよる$らんぷ$をつけておんながはりしごとをしてをるゑをいまかきかけてハをりますがまいにちそればつかりニほねをるといふわけニはいけません といふものハよるのところですからうちのなかをくらくしてあかりをつけそれをとのそとからのぞいてみてかくのですからこのさむいのニひのないところニたつていてかくのはすこしかんしんいたしませんからあたたかくなるのをまつてをります それゆへまづとうぶんハちいさなゑばつかりけいこがきニかいてをります おくつてくださいましたうゑきもせんじつたしかニとゞきました せんせいもたいそうよろこんでをりますからどうぞさよう父上樣に申あげてくださいまし くさぞうしのつゞきをまたすこしばかりかきましたからおくつてあげます こんどはまずこれぎり めでたくかしく

母上様 新太拜

 せつかくおからだをおだいじニなさいまし みなさまへよろしく


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