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修復作業

 当研究所の所蔵品のなかに、黒田清輝の「智・感・情」がある。この作品は、異なったポーズをとる裸婦像3点からなり、人体による寓意表現をこころみたものであった。それぞれ裸婦像の背景は、金地であったが、時間の経過とともにその背景部分に無数の亀裂が生じ、細かくめくれあがった状態になり、ながらく本格的な修復がまたれていた。そこで平成7(1995)年度より、3年計画で1点ずつ修復がすすめられた。
 調査の結果、この金地背景の亀裂の原因は、キャンバスの地塗りに使用した膠水の濃度と金地作製に使用した膠水の濃度の違いから生じたと考えられる。地塗塗料の膠水より、金地層の膠水の方が濃く、乾燥するにしたがい上層である金地の収縮が強くなり、地塗層をめくりあげることになったと考えられる。 (1)
そのほか、キャンバスも老化しており、木枠の四隅の継ぎ目が収縮して、ゆるくなっている状態であった。
 修復作業は、浮き上がり部分を、魚膠を使用した膠水を接着材に慎重にすすめられ(1)、人体部分などの剥落した箇所には、除去可能なアクリル系の絵具によって補彩され、補彩完了後、ワニスが塗布され、支持体も新調した木枠に張りなおしされた(2)。

(2)


『智』修復前 『智』修復後 『感』修復前 『感』修復後

(修復作業・資料提供:学校法人高沢学園 創形美術学校 修復研究所)

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