二月十六日 (從軍日記)
朝五時頃ニ船再ビ進行し始めぬ 七時頃起出でゝ見れバ左右ニ一と筋の山ぞ見へけり 晝めしの頃ニハ陸いよいよ近づき村も處々見へ麥團とおぼしく青々としたる處の有るなど今迄の不愉快ナル氣分もくるしき支那の戰も皆忘れ去りて未來即チ此の舟のとゞまらん處ニハ言語ニ盡されぬ樂しき事の待ち居るかの如き思ひ起りぬ