・毎日芸術賞 第10回毎日芸術賞(昭和43年度)の美術部門は、芸術大賞として「朝明けの潮」の制作と去る11月に銀座松屋で開いた個展に対して日本画家東山魁夷を、芸術賞として7月に日本橋高島屋で個展を開いたガラス工芸家岩田藤七と、立正大学熊谷キャンパスの設計者槇総合計画事務所代表取締役槇文彦を選定した。 ・浅野長武東京国立博物館長死去 昭和26年1月から18年間にわたる戦後の古美術界の諸活動に直接、間接に重要な役割を果してきた東京国立博物館長浅野長武は1月3日世田谷の自宅で死去した。 ・縄文土器に画かれた原始絵画発見 長野県八ケ岳山麓から出土した縄文土器を復元したところ「婦人の出産図」とみられる原始絵画が画かれていることが分り、あるいは日本最古の絵画遺品ではないかとみられている(23日)。 |
・京都国立近代美術館長決まる 京都国立近代美術館では、今泉篤男館長が辞任後、後任が決まらなかったが、17日附をもって東京国立近代美術館次長の河北倫明が館長として発令された。 |
・芸術選奨 第19回(43年度)芸術選奨と第2回新人賞の受賞者が4日文化庁から発表された。美術関係では昨12月回顧展を開いた洋画家牛島憲之、写真集「宮廷の庭」の岩宮武二が選奨に、建築家で「福岡相互銀行大分支店」を設計した磯崎新が新人賞に選ばれた。 ・安井賞 第12回安井賞に鴨居玲「静止した刻」が決った。候補作は藤田吉香「村」。受賞作を含む72作家78点の作品は7日から19日まで池袋西武で開催の安井賞展に展示された。安井曽太郎記念会と毎日新聞社主催の同展はこれまでの50才未満という年令制限を廃したために幅広い出品者層が加わった。 ・国際青年美術家展 日本文化フォーラム主催読売新聞社後援の第5回国際青年美術家展は21日から26日まで池袋西武で開催され、大賞(パリ留学費2000ドル)は「IN THE SKY OUT THE SKY」を出品した寺門晃に決定した。ストラレム優秀賞1席に渡辺恂三、2席に楢葉雍、文部大臣賞に山本俶生、日本文化フォーラム賞に鈴鹿芳康、美術出版社賞に藤野登、佳作に河野穣而、安達東彦、高岸昇、宮島靖英に決定。 ・国宝、重要文化財指定 43年度美術工芸関係文化財として文化財保護審議会は国宝1件、重要文化財51件を指定した。国宝は鎌倉時代の玄奘三蔵絵(法相宗秘事絵詞)12巻(藤田美術館)、絵画の重文には長谷川等伯筆「烏鷺図」(大日本インキ化学工業)、作者不詳毛利元就像(永禄5年、山口市豊栄神社)、密教図像17点田能村竹田筆「暗香疎影図」(大分市帆足市太)等の他、藤島武二筆「黒扇」(ブリヂストン美術館)、青木繁筆「わだつみのいろこの宮」(同美術館)、富岡鉄斎筆「安倍仲麻呂・円通大師図一双」(西宮市辰馬悦蔵)など。彫刻は今回初めて近代に来日した外国人の作品、つまりイタリア人ヴィンツェンツォ・ラグーザ作「日本の婦人像」石膏原型(東京芸大)が指定された他、伎楽面(東京国立博物館)31面など、工芸品には鎌倉時代の雲版(うんばん)、中国元代や明代の金襴袈裟など、他に書跡、考古品等を含んでいる。 ・国宝、西本願寺唐門の破損 桃山建築を代表する京都西本願寺の唐門(国宝)の装飾彫刻の一部が子供のいたずらによって破損されているのが、19日、発見された。 ・史跡指定 文化財保護審議会は20日昭和43年度の史跡、天然記念物、重要民俗資料の文化財指定を発表した。史跡には古代の官衛を残した「那須官衛遺跡」や大阪の旧造幣寮(明治4年創業)など7件が含まれる。 ・建造物重要文化財指定 文化財保護審議会は22日建築物関係の重文指定を発表した。民家23件、社寺2件で、このうち民家で最も古い大阪府佐野市の奥家は江戸初期の様式を残している。 ・「日展」改組 社団法人「日展」は25日上野の日本美術協会で総会を開き機構と人事の改革を行った。これまで「日展」は民間団体であるにも拘らず常任理事会委員の資格は官展当時のまま文部省の芸術院会員であることとしていたことをはじめとして、審査員の任命、受賞の選定などにしばしば情実によるもののあることの疑惑がもたれ、批判があったが、今回の改革の一つは常任理事会(15人)とそれに準ずる理事会(40人)から75才以上の会員を顧問として棚上げし、いままでの理事会定員を54人としたことによって人事を若返らせたこと。第二には、常任理事会のもっていた審査員任命権、各賞授賞選考権を理事会に移したことが主な改革点である。辻永に代る新理事長には山崎覚太郎が選ばれた。 ・郷倉千靱の四天王寺壁画完成 大阪四天王寺大講堂に郷倉千靱が三年前から着手していた「仏教東漸」壁画が27日から4月9日まで日本橋東急で公開された。玄奘法師の事跡を4メートル四方18面に描いたもので、読売新聞、日本テレビ、読売テレビから四天王寺に寄進された。 |
・京都市立芸術大学発足 京都市立美術大学、同市立音楽短期大学の両大学を統合した京都市立芸術大学が、三日正式に発足した。同大学は現在の市立美術大学と音楽短大を統合し美術学部、音楽学部に改め、総合大学にしたものである。本部と美術学部はもとの美大に、音楽学部は左京区岡崎の音楽短大に各置かれ、将来は北区大将軍の京都工芸繊維大学繊維学部跡に統合整備する計画がすすめられている。 ・重文硯筥等四点の盗難 8日白昼、大阪市立美術館に陳列中の重文硯筥など4点の古美術品が盗まれた。盗まれた4点は江戸時代の蒔絵硯筥であったが、幸いにも盗品は後日発見された。 ・国立近代美術館竣工 千代田区北の丸三に新築中の国立近代美術館は、この程完成し、11日午前11時から同館で開館式が行われた。この美術館は、ブリヂストンタイヤ石橋正二郎会長の寄附金12億円をもとにつくられたもので、谷口吉郎設計により地上4階、地下1階、延べ1万2千平方メートルの鉄筋コンクリート造りで建てられた。温湿度、観覧経路などに最新式考慮がはらわれている。尚、開館記念展として「世界の現代美術―東西の対話」展を開き、欧米からも代表的現代美術が寄せられた。 ・昭和43年度(第25回)恩賜賞・日本芸術院賞決定 日本芸術院は、16日昭和43年度日本芸術院恩賜賞、院賞の受賞者をつぎの通り決定した。恩賜賞―黒田重太郎(永年洋画界につくした業績に対し)日本芸術院賞―三谷十糸子(第11回日展の「高原の朝」と多年の業績に対し)、中村善策(第11回日展の「張碓(はりうす)のカムイコタン」などの諸作品に対し)、般若侑弘(第11回日展の「青い朝」に対し)、田中塊堂(第11回日展の「平和」に対し)。 |
・国宝智積院障壁画の破損 京都東山、智積院の国宝「紙本金地着色桜楓図」9面のうち2ケ所が異常乾燥のためヒビ割れを生じているのが9日発見された。桜楓図の破損は、乾燥によるヒビ割れ、猫の悪戯、台風による被害を含めてこれで4度目である。 ・重文、万福寺舎利殿の破損 宇治市、万福寺の重文、舎利殿の扉2枚がひきちぎられ破損しているのが、9日発見された。原因は子供のいたずららしい。 ・第9回現代日本美術展の受賞 第9回現代日本美術展の受賞が、17日次のとおり決定した。フロンティア大賞―池永慶一、フロンティア賞―大西清自、聴濤襄治、三木富雄、岡本信次郎、東京国立近代美術館賞―若林奮、京都国立近代美館術賞―靉嘔、神奈川県立近代美術館賞―多田美波、大原美術館賞―高松次郎、ブリヂストン美術館賞―吉原英雄、長岡現代美術館賞―河原温、コンクール優賞―樋口正一郎、コンクール賞―西尾一三、菅隆子、下田義寛、大塚亮治、コンクール賞候補―三尾公三、石黒直子、小林はくどう、島本昭三 |
・日本イラストレーター会議(NIC)発足 イラストレイター会議は挿絵画家、デザイナー、漫画家たちの集団で、イラストレーションの社会的役割を認識し、現代の重要な芸術活動としての自覚と責任を明確にしようというのが目的で、デザイナーの早川良雄が会長となった。会員95名で、雑誌「イラストレーション」を発行する。なお、このほか、著作権確立など利益擁護などの活動もし、おもな会員に朝倉摂、桂ユキ子、河野鷹思、杉全直、中原佑介、などがいる。連絡先新宿区市ケ谷砂土原町1―2保健会館221号電268―4455 ・バルセロナで版画家吉田政次が、「ミロ賞国際素描展」で大賞受領 スペインの生んだ巨匠ミロの画業を記念して、バルセロナ市ではビレイナ宮で第8回「ホアン・ミロ賞国際素描展」を開催した。これに、版画家吉田政次が「門」を出品し、グランプリとなり、ミロのデッサンとミロの肖像を刻んだ銀メダルを授与された。 ・湯島、旧岩崎邸の解体 明治の上流階級の邸宅建築として代表的な湯島の旧岩崎邸が、洋館(重文)と和風建築の一部を残し、解体されることになった。明治の上流生活の二重性を象徴するこの建築物は完全保存が望まれていたが、結局、和風の一部のみを残すこととなった。(23日)。 ・福島県、大内地区の宿場町保存問題 会津若松市の南南西の山あいの大内地区は、江戸時代の宿場町の姿を殆んど完全にのこしているが、地元では、現状を変更しようとする動きがつよいため、文化庁でも重要民俗資料として指定を検討することとなった(25日)。 ・戦争記録画の返還 日中戦争、大東亜戦争等の際、記録画として描かれた多くの作品は、戦時中内地の主要都市に巡回展示され、その後東京都美術館に保管されていた。これらの戦争画は、戦後連合軍司令部に接収され、昭和26年アメリカに運ばれ、ペンタゴンその他に分散されていた。昭和36年日米修好100年にあたり、これらの絵画の返還が話題となり、朝日新聞社や国立近代美術館が返還の折衝に当った。その後、近代美術史上における重要資料として、文化的見地から外務省が返還促進をすすめていたが、昭和43年正式交渉の結果、当該作品は、米国政府から日本政府に「無期限に貸与」することとし、貸与後の取扱いは事実上日本側に自由を与えることで諒解に達した。45年2月東京国立近代美術館の青木技官がワシントンに出張し、155点の絵画を検収し、3月31日ワシントンにおいて両国交換文書が調印された。作品はニューヨーク経由で東京に空輸され、5月1日東京国立近代美術館において関係官庁その他参集のもとに荷がほどかれ、同所に収蔵された。尚、これらの経緯については6月29日発表があった。 |
・パウル・クレー展 7月1日~27日、神奈川県立近代美術館、日本美術館企画協議会、東京新聞社、中日新聞社の共同主催により、神奈川県立近代美術館で開催され、フェリックス・クレー所蔵の油彩・水彩・素描・版画の計191点が展示された。 ・北大農学部第二農場など重要文化財(建造物)指定 文化財保護審議会は、4日44年度重要文化財のうち建造物関係として、北大農学部第二農場9棟と熊本の旧第五高等中学校3棟の2件を指定することを決め文部大臣に答申した。 ・坂本繁二郎逝去する 洋画界の最長老で、文化勲章受章者坂本繁二郎は、7月14日、福岡県八女市の自宅で逝去した。政府は生前の功績に対して従三位勲三等、銀盃一組を贈ることを決定した。 ・モスクワで日本彫刻展開催される ソ連文化省と日本経済新聞社の文化協定に基づく「日本彫刻展」が、7月15日から8月24日までモスクワのプーシキン美術館で開催された。出陳されたのは、古墳時代の土偶、埴輪から江戸時代の円空仏にいたるまでの作品。 |
・彫刻の森美術館開かれる 神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平に建設中であった財団法人彫刻の森美術館(会長植村甲午郎)がこのほど完成し、8月1日午後2時半、開館式が行なわれた。山の斜面を切り開いた3万3千平方メートルの敷地を造成、彫刻家井上武吉、設計家古島一雄両氏の協力設計による屋外展示場と室内展示館を中心とした彫刻公園で、開館記念展として国内外の作家の招待・コンクールによる「第1回現代国際彫刻展」と、「日本にあるヨーロッパ近代彫刻展」が開催され、国際展部門の最高大賞に堀内正和作<立方体の二等分>、準大賞にアメリカ在住の女流作家エスコバー・マリソール作<三つの大像>が選ばれた。 ・日宣美展中止される 日本宣伝美術会第19回公募展は、日宣美展廃止、日宣美解体を主張する美術学生を中心にした日宣美粉砕共闘会議の造反運動によって中止せざるをえなくなった。中央委員会は8月19日、極秘に審査会を強行し、展覧会を抜きにして入選作品目録を関係に配布する方法をとることに決定した。 ・万国博美術館の国内出品リスト 8月22日万国博協会は、万国博美術館に展示する国内関係作品の第2次リスト152件(絵画109件、彫刻18件、工芸25件)を内定し、第1次と合せ285件の出品リストがかたまった。なお、入館料金も決定し発表した。 ・ヘンリー・ムア展 (8月27日~10月12日)ブリティッシュ・カウンシル、東京国立近代美術館、毎日新聞社の主催により、東京国立近代美術館で開催され、彫刻・素描97点が展示された。 ・ゴーギャン展 8月28日~10月1日 京都国立近代美術館、読売新聞社、報知新聞社の主催により、東京渋谷の西武デパートで開催され、世界各地から集められた130点が展観された(京都展10月5日~11月7日)。 ・西ドイツ、スイスで日本古美術展 日本政府が主催するもので、8月30日~10月スイス・チューリッヒ市立美術館、11月西ドイツ・ケルン市立美術館で開かれることになり、文化庁によって組織され、出品総数は149点にのぼった。 ・世界民族美術展 8月30日~10月12日 西ドイツ・ケルン市のラウテンシュトラウホ・ヨースト民族学博物館所蔵品によるもので、東京新聞社主催、東京国立博物館において開催された。 |
・国立歴史民俗博物館、遺跡博物館 文化庁は8月5日、すべての分野の歴史資料と生活に関する民俗資料を収集した国立歴史民俗博物館と、奈良・平安宮跡をそっくり遺跡博物館とする構想を発表した。 ・国際鉄鋼彫刻シンポジウム 日本鉄鋼連盟、毎日新聞社主催により、外国作家9名(ジョージ・ベーカー、ハインリッヒ・ブルマック、フィリップ・キング、ベルンハルト・ルジンブール、エドゥアルド・パオロッツィ、カール・ブラントル、ジョージ・リッキー、ケネス・スネルソン、ジャン・ティンゲリー)、日本作家4名(伊原通夫、飯田善国、若林奮、湯原和夫)の参加で行なわれ、大阪西淀川区野里西の大アトリエに9月中に集り、3ケ月の共同生活をしながら制作することになった。作品はすべて万国博の会場に展示される。 |
・第3回現代日本彫刻展 昭和40年から隔年に開かれてきた現代日本彫刻展=山口県宇部市、日本美術館企画協議会、毎日新聞社主催=は、その第3回展を1日から11月10日まで宇部市の常盤公園内野外彫刻美術館で開いた。今年の同展は、わが国現代彫刻の先駆者である荻原守衛から現在までの代表作を集めて特別陳列した“日本現代彫刻の史的展望”と、アルミニウム、ステンレス、プラスチック(ポリエステル、塩化ビニール)など現代彫刻の新しい素材をとりあげ、作家と素材による新しい可能性を求めた“三つの素材による現代彫刻展”の二つ。後者では42年後半期から現在までの間に各美術団体展、グループ展、個展その他ですぐれた業績を示した作家を4素材部門19作家19点の中から9月29日夜、8名の審査員で次のように授賞作品を決定した。なお、宇部興産の協賛は従前通りだが、素材提供のスポンサーとして、積水化学工業、日本硝子繊維、日本軽金属、日本触媒化学工業、日本ステンレス各社に協力を仰いだ。
・サザビー・オークション 「英国フェア」の一環として、世界最大のロンドンの競売会社サザビーが1日から3日まで、東京・日本橋、三越本店の三越劇場で「サザビー・オークション」を行なった。近代絵画、印象派絵画を中心に3日間にわたって東西の美術骨董品、総額7億1千万円を売上げた。 ・丸紅飯田が美術品輸入の新業務 総合商社である丸紅飯田が英国のラブラン社(本社ロンドン)と提携し、年間最低18億円相当の絵画、古美術、骨董品を輸入することになり、このため1日から常設展示場を東京・有楽町、新有楽町ビルに丸紅アート・ギャラリーとして設け新業務を開始した。同社が第1回契約分として輸入(1部委託)したのは泰西名画など71点、総額10余億円にのぼるといわれた。特にそのなかのボッティチェルリ作「シモネッタ・ベネプッチの肖像」(時価1億5千万円)は、美術界の一部から真贋の疑点についての噂がおこり、6日関係者異例の記者会見で真作であると説明するなど、大きな話題となった。 ・沖之島で「唐三彩」出土 福岡県宗像郡沖之島で行なわれた宗像祭祀遺跡総合調査の結果、「唐三彩」の陶片が見出された。「唐三彩」が中国以外の地で発掘されたのは、エジプトのカイロ、奈良大安寺遺跡についでこれが3番目であり、貴重な発見である(15日)。 ・文化勲章・功労者決定 44年度の文化勲章と文化功労者が21日の閣議で内定した。4人の文化勲章受賞者のうち美術関係者は、日本画の東山魁夷(本名新吉)。6人の文化功労者のうちでは染織工芸の山鹿清華(本名健吉)。文化勲章の伝達式は11月3日皇居で、文化功労者の顕彰式は同4日に東京・虎の門の国立教育会館で行なわれた。 ・18世紀フランス美術展 国立西洋美術館では開館10周年を記念して館開設に縁の深いフランスの18世紀美術展を18日より12月14日まで開催した。出品作品は、ワトー、ブーシェ、フラゴナールなどの絵画42点、ウードンなどの彫刻15点、デッサン21点、建築彫刻装飾デッサン26点、版画16点、豪華装幀本12点、家具6点、室内装飾ブロンズ5点、金工品5点、陶磁器11点、タピスリー、衣裳9点、その他の工芸品7点で、建築物の写真パネルを援用しながら、ロココ美術の多分に貴族的な生活を背景とする綜合的性格の再現を試みた興味深い展覧会であった。 ・京都で野外造形’69展 京都では初の試み「野外造形’69」展(野外造形’69実行委員会・京都新聞社主催)が20日から11月30日まで、鴨川の西岸、北は荒神橋から南は丸太町大橋まで約9千平方メートルの府立鴨川公園をメーン会場に当てて開かれた。京都をはじめ全国で活躍中の新進先鋭作家たち約80人が参画してそれぞれ思い思いの造形意欲を発散させて競い合った。 |
・改組第1回日展開幕 過3月下旬総会を開き画期的な機構改革と、これに伴う人事の若返りを断行した社団法人「日展」が、本年度第12回日展を改組第1回日展と銘打って、新陣容のもとに1日より12月6日まで例年通り都美術館で改新初の展覧会を開幕した。ところで“日展粉砕”を目標に実力行動を起そうとする美術家共闘会議、反戦美術家共闘委の造反学生たちの動きに対して、前月13日からはじまった作品搬入、審査日以来、異例の警戒体制を強化してきたが、開会初日の彫塑会場で一部混乱をまねいただけで会期中殆んど無事に終った。 ・芸術院新会員決定 日本芸術院は、24日会員欠員補充選挙の開票を行ない、新会員に第一部美術部門では、井手宣通(洋画)、大内青圃(彫塑)、西川寧(書)の3名が内定、12月15日付で正式に任命された。 ・岩蔵寺の薬師仏(重文)破損さる 滋賀県野洲郡の岩蔵寺の秘仏で重文の薬師如来像が鼠害をうけ、鼻が喰いちぎられていることが4日発見された。 |
・苔庭の庭園、猪に荒さる 特別名勝史跡に指定されている京都西芳寺(苔寺)の庭園に夜間、猪が出没し、名物の苔をかきむしり、庭師の手入が追いつかないほどに庭園を痛めつけた(2日)。 ・第4回日本芸術祭国内展示 日本現代美術を海外に紹介、あわせてその市場を開拓する―との趣旨ではじめられた国際芸術見本市協会主催の「日本芸術祭」は、これまでアメリカとメキシコで開催されてきたが、4回目を迎え、初めてヨーロッパに進出、来春3~4月にパリのチェルヌスキー美術館で開かれることになった。その国内披露が6日から14日まで「第4回日本芸術祭国内展示」として東京国立近代美術館で開かれた。今回は公募一本にしぼったのが特徴で、応募作は国内はもとより、海外在住の日本人作家からも寄せられ、総計1,096点にも達した。その中から今春審査が行なわれ、平面38点、立体18点、版画20点が入選。授賞作として、JAFA大賞に靉嘔の「6 RAINBOW CLOCKS」、楢葉雍の「METAMORPHOSE 1969―5」の両立体作品が推され、浅井昭「分化のスリーベルトA・A」ら4点の平面作に優秀賞が与えられた。 ・ラングレ著「油彩画の技術」邦訳にクローデル賞 日仏文化交流につくしたフランスの詩人、劇作家ポール・クローデル(元駐日大使)を記念し、フランス語著作物のすぐれた邦訳に贈られる第4回クローデル賞(毎日新聞社、日仏文化会館主催)は、このほど選考委員会の審査の結果、黒江光彦(国立西洋美術館勤務)訳のグザヴィエ・ド・ラングレ著「油彩画の技術」(美術出版社刊)に決定した。この賞は、訳者に1ケ月間フランス旅行の特典が与えられる。贈呈式は明春2月上旬、毎日新聞東京本社で行なわれる。<12月27日付、毎日新聞所載> |