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近代文化遺産の保存と修復 東京文化財研究所の関わり
エントランスロビーパネル展示 : 2015年3月31日~ (終了しました)

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(写真撮影:城野誠治)

ご挨拶

 平成26(2014)年の富岡製糸場関連遺産の世界遺産登録で、わが国の近代の文化遺産とその保護に関しては、一段と注目されるようになりました。当研究所保存修復科学センター近代文化遺産研究室では、平成18(2006)年の研究室発足以来今日まで、多種、多様、多岐にわたる近代の産業、交通、土木関連の施設や機械、さらには輸入品を含めた近代の美術工芸品の保存修復のための情報収集、技術開発等を行っています。
 近代の文化遺産の特色は、何よりも規模が大きく、生産施設や鉄道施設の事例を挙げるまでも無く、多くの機能を持った施設や機械等から構成される複合体の場合が多いことです。中には、つい最近まで現役であった施設や蒸気機関車やダム、トンネルのように今なお現役としての稼働が期待されているものもあります。これらの中には、必要に応じ途中で機能の強化や新たな機能付加、さらには技術刷新などにより原型を少なからず変えているものもあります。それらを歴史的経緯や変遷を含め文化遺産として評価し保護していくためには、克服しなければならない課題が山積しています。
 近代文化遺産研究室では、各種研究会を開催し近代文化遺産の保護に関する内外の情報を収集しているほか、各地からの要請に基づいて現場に出向き、必要な調査や分析を行い近代文化遺産の保存修復にかかる方法や新技術の開発に努めています。
 ここでは、これまで近代文化遺産研究室が保存修復などにかかわった案件のうち代表的な事例について紹介します。その多くは、現在も必要な調査研究が継続的に続けられていますが、文化遺産保護の黒子的存在といえる保存修復技術と新たな技術開発の現状を理解していただければ幸いです。

平成27年3月
東京文化財研究所長 亀井伸雄




 わが国における産業・交通・土木に関する近代文化遺産の指定が始まったのは、平成5(1993)年の碓氷峠鉄道施設及び藤倉水源地水道施設が最初です。それに先立ち平成3(1990)年から、文化庁及び各都道府県において、「近代化遺産総合調査」が実施され、その結果に基づいて国等による指定作業が進められました。
 「文化遺産の保存と修復」という観点から考えた場合、近代文化遺産の特徴として、
・規模の大きさ
・使われている材料の多様さ
の2つを挙げることができます。
 東京文化財研究所では、近代文化遺産の保存と修復に関して、国内外の各種事例を調査し、そこで得られた知見を、文化財の保存現場へフィードバックする方法で、調査研究を進めてきました。
 近年は、更に一歩進めて、近代文化遺産の保存・修復の理念に関しても、各界の研究者・専門家等と共に協議を重ねています。今後も近代文化遺産が持つ様々な課題について、取り組んで行きたいと考えています。


近代文化遺産重要文化財第1号指定
(碓氷峠鉄道施設(碓氷第3橋梁))
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