ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

?崩壊地震動により、建造物の全壊または部分的な崩壊(半壊)が引き起こされることがある。近年の地震では、耐震補強が実施された建造物も増えてきたことから、半壊程度に留まる場合がほとんどである。地震被害は、屋根材や煉瓦単体での落下などの部分的な崩壊から、壁面に貫通亀裂やせん断ひび割れが発生し、抵抗できなくなった建造物の崩壊といった深刻な被害(全壊)がある(写真2-17)。特に、煉瓦造建造物は煉瓦やモルタルなど近代以降に導入された材料で建設されていることから、材料の品質にバラツキがあり、思いがけない箇所が被災することもある。また、煙突、妻壁ペディメント、アーチ積み部などが地震によって亀裂や落下する事例がこれまでに多数確認されている(写真2-18)。写真2-17全壊の例(出典:旧神戸居留地十五番館災害復旧工事報告書)写真2-18落下により崩壊した煙突?傾斜傾斜は、地盤沈下や亀裂の拡大によって発生する。地盤沈下には、経年によるものの他に、建造物近くでの大規模掘削などによって発生するものもある。亀裂による建造物の傾斜は、亀裂が生じた後に余震などが続き徐々に亀裂の幅が広がることで生じることが多い(写真2-19)。写真2-20のような煙突では、傾斜や捻れなどが発生する場合がある。写真2-21は、地震などによって発生した亀裂が徐々に拡がり、面外方向へ傾斜している状況を示している。写真2-19妻面に亀裂が入り、傾斜する壁面(青線:亀裂箇所)写真2-20煉瓦煙突が経年の劣化によって傾斜した事例写真2-21煉瓦壁面隅部に縦方向に亀裂が発生し、面外方向へ煉瓦が傾斜(青線:亀裂箇所)83