ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

?亀裂・表面亀裂についてタイル状の化粧煉瓦などは、表面亀裂が発生することが多く、亀裂が発生したことにより浮きや?落が生じる場合がある。・亀裂について亀裂は、材料の経年劣化や地震、不同沈下によって生じ、隅部や開口部周辺などで発生することが多い。また、亀裂の入り方は、目地に合わせて発生しているものから、目地を無視し直線状に煉瓦も割るような形で発生しているものまで様々である。亀裂には、大きく分けて、壁表面や材料単位で生じる表面亀裂と、外壁から内壁まで貫通する貫通亀裂がある。・貫通亀裂について貫通亀裂が発生することで、組積構造物として一体性が失われ、耐力が大きく低下する。貫通亀裂は、地震時に最も発生しやすく、余震によって壁面の傾斜や亀裂の拡張など、貫通亀裂が発生することによって、被害規模も大きくなる(写真2-14)。近年、貫通亀裂が発生した建造物としては、シャトーカミヤ旧醸造場施設(茨城県)、旧野村さとう店煉瓦蔵(茨城県)、旧熊本高等工業学校機械実験工場(熊本県)などを挙げることができる。写真2-14東日本大震災によって生じた貫通亀裂(黒線:亀裂箇所)?ズレ写真2-16貫通亀裂によってズレた煉瓦壁面・ズレについて貫通亀裂が生じた箇所に、壁体のズレが生じることがある。ズレは、地震によって建造物が大きく揺らされた際に発生することが多い(写真2-15,2-16)。亀裂が生じる場所も様々で、基礎付近、ペディメント部分、煙突など地震時に大きな負荷が生じる箇所で発生する。ズレに伴い、取り付けられた建具、器具などにも不具合が生じる場合がある。写真2-15ズレた煉瓦壁面82第6章煉瓦造建造物の保存と修復に関する事例集