ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

?白華写真2-10白華が発生した壁面石材と煉瓦壁面との間から水が染み出し、白華が発生したと考えられる。・白華現象について白華現象は、塩類劣化・凍結破砕と同様に水の侵入が要因となる(図2-3)。煉瓦などに侵入した水分が気化する際に、水分中に溶け出した石灰分(炭酸カルシウムなど)が析出したものが白華である。白華現象を長期間放置すると析出した石灰分が固着してしまい、手作業では除去しきれない状態まで発展してしまい、壁面の汚損に繋註がる(写真2-10,2-11)6。水の侵入写真2-11差し替えた煉瓦表面から白華劣化や破損により差し替えられた煉瓦表面から白華が発生している。・発生場所について白華現象は、水の排水経路から発生するため、目地部分や煉瓦と石材との隙間など、水が侵入しやすい箇所でよくみられる。また、材料中の水分が乾燥することによって発生する現象のため、乾湿差の大きい南面で発生する場合が多い。図2-3乾燥白華の概略図白華発生?煉瓦壁内の金属の腐食劣化腐食劣化は、煉瓦壁内に侵入した水分及び酸素が、埋設されている金属(機械設備を固定するボルト、碇聯鉄・帯鉄などの構造補強材)と反応することで発錆し、錆による体積膨張により壁面に亀裂を発生させる(写真2-12,2-13)。写真2-12煉瓦壁面に設置された金属製のボルトの劣化ボルトが発錆し、煉瓦壁面に亀裂が発生している。写真2-13金属の腐食劣化の初期段階金属製の蝶番の壁内部が発錆し、外壁に錆が流れ出している。腐食が進行すると、蝶番を固定する壁面に亀裂が生じる可能性がある。81