ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

岩手銀行(旧盛岡銀行)旧本店本館構造補強:小屋裏内での水平鉄骨ブレース補強(面外変形防止)煙突の角形鋼管による補強木摺漆喰天井のアクリル樹脂注入による補強(崩落防止)非構造部材の落下対策煙突の角形鋼管による補強妻壁の検討スライド7開口部廻りの検討水平鉄骨ブレース設置木摺漆喰天井のアクリル樹脂注入による補強スライド8壁の強化のために、縦に引張材を挿入。壁の上から小径のコアボーリングにより穴を開けて、引張材を入れ、セメントグラウトを注入して固める(スライド12)。壁面外方向の強度を高め、開口部周囲の割れ防止のために、アラミド繊維を煉瓦の目地に挿入(スライド13)。文化財においては可逆的な方法で実施するのが基本であり、水平構面を補強するために鉄骨ブレースを付加する方法をとりたかったが、天井との収まりの関係でどうしても不可能な部分が生じた。そのため煉瓦壁頂部の一部を鉄筋コンクリート造臥梁で置換した(スライド14)。シャトーカミヤ旧醸造場施設シャトーカミヤ旧醸造場施設建築年代:明治36年構造形式:事務所煉瓦造、2階建、鉄板葺(一部スレート葺)、時計塔付事務室耐震診断結果東西・南北方向とも壁の面内方向の耐力不足壁の面外方向の崩壊の危険性あり屋根の水平剛性小壁面外の変形大塔屋がねじられる壁面外・煙突の変形大壁量が少なく、特に東側が少ない発酵室貯蔵庫事務室開口が多く壁量少東西方向屋根の水平剛性小直行壁の間隔大南北方向開口廻の亀裂破損煙突の傾斜東日本大震災で被災。スライド9シャトーカミヤ旧醸造場施設沿革:明治36年事務室建設。平成23年東日本大震災により壁に亀裂が生じるなどの大きな被害。平成24~?8年保存修理工事(災害復旧)耐震補強概要屋根水平構面補強(??臥梁)スライド11屋根水平構面補強(鉄骨梁+ブレース)引張補強材挿入補強面内、面外曲げ性能強化目標性能:安全確保水準。煙突鉄骨控え補強診断・クライテリア:大地震動時について検討。・壁せん断力について立体弾性解析による保有耐力の検討。+エネルギー一定測を利用した診断。煉瓦壁の回転や割れを考慮した立体弾塑性解析により架構の性能評価。限界層間変形角は1?150と設定。面外方向は有限要素法による検討。水平震度は0.4以上かつ必要エネルギーを満たす耐力。(図中、黄色や赤の範囲が弱い:塔屋、煙突、長い壁)スライド10スライド12アラミド繊維目地補強面外曲げ性能強化、開口廻りひび割れ補修66第5章日本における煉瓦造建造物耐震補強の近年の動向