ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

ページ
54/130

このページは 未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復 の電子ブックに掲載されている54ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

した性質を把握しなければなりません。あたかもチェーンのように、それぞれの関連を知る必要があります。建物の構造応答を変えるのではなく、局所的な弱点?組積造の部分的な質や接合部の弱さ?を取り除くのです。これがこの手法の主たる目的です。手を加える前には、できる限り建物の幾何学的、力学的、物理的な性質にも目を向けてください。調査計画(スライド22-23)次に調査計画の重要な役割を述べます。イタリアにおける、今日の歴史的建造物のインターベンションは、ここ数世紀の経験を基に発展してきました。そして、増築箇所ごとに、それぞれ異なる技術で支えられています。しかし、全体としてみると、構造体としてうまく統合されていない場合があります。このことから、材料の性質をどのように確認すべきか、またモデルをどのように扱うかについて考えさせられます。目視による調査、部分的な破壊を伴う調査、組積造建造物の目地や割れの状況の確認、構造応答の把握など、調査には様々な手法があります。建物は部分ごとに組積技術の種類が異なるかもしれないので、その種別や質を見極め、建設時期が異なれば、構造の差あるいはその詳細などについて確認が必要です。建物ごとに破損状況を観察することで、どのような調査をどこに対して行うかがわかってきます。非破壊試験、破壊試験、音波試験、静的試験もあります。たいへん複雑な動きをする建物に対しては、計測管理(monitoring)によって、構造応答を把握することも多くなってきています。例えば、ジョットが壁画を描いたイタリアの有名な教会では、緊結部の有効性について、たいへん健全な構造応答が得られました。部分ごとに張力が変化し、異なる緊結部の効果を示す構造応答が確認されました。(スライド24-25)次にモデル化に伴う問題があります。様々な方法を用いますが、数年前までは有限要素法(finite element analysis)だけに頼っていました。しかし最近は、徐々に剛体ブロック(rigid block)の極限解析(limit analysis)が使用されるようになってきています。この方法により、倒壊は壁や柱などの均衡性の喪失により発生したことがわかります。考え得る破損メカニズProf. Eng. Claudio ModenaSM IngegneriaINVESTIGATION PLAN1. HYPOTHESYS ON THE BUILDING EVOLUTION2. IDENTIFICATION OF PLAN-ELEVATION CHARACTERISTICSProf. Eng. Claudio ModenaDepartment of Civil, Environmental and Architectural EngineeringUniversity of Padova, ItalyLimit analysis for seismic assessmentThe infill material is exclusively considered as applied mass, consistently with the construction practiceof railway masonry bridges, and the eventual lateral stiffening effect of spandrel walls is not taken intoaccount, because of frequent lack of effective connection. Both hypotheses are conservative (Clementeand Raithel 1998, da Porto et al. 2007), hence suitable for large-scale simplified analyses.3. INTERPRETATION OF CRACK AND DEFORMATION PATTERNS4. IDENTIFICATION AND CHARACTERIZATION OF CONSTRUCTION DETAILS/ELEMENTS5. MASONRY TIPOLOGY6. MATERIALS CHARACTERIZATION7. MONITORING STRATEGIESスライド22Iterative solution for funicolarpolygon and thrust lineスライド24Prof. Eng. Claudio ModenaSM IngegneriaProf. Eng. Claudio ModenaDepartment of Civil, Environmental and Architectural EngineeringUniversity of Padova, ItalySimplified vulnerability assessmentIso-acceleration curves obtained with kinematic analysis and tabular procedure ofPreliminary seismic verificationcracksCracksTiltingdata-loggercracksA-L mechanismAA-L mechanismExtensimetersHeavy masses monitoringPiezometersAP-L mechanismAP-T mechanismスライド23スライド2552第5章建築遺産の修復と補強に関する基準と技術:研究と応用