ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

註1.朽津信明・石崎武志(2012)「タイ国アユタヤ遺跡におけるレンガの劣化現象」『レンガ造文化財の保存修復』東京文化財研究所, pp.61-72.2.川野邊渉・朽津信明(1999)「煉瓦造建造物の劣化状況調査」『未来につなぐ人類の技産業遺産』東京国立文化財研究所, pp.54-57.3.ここでは、析出した成分の分析は行っていないが、剥離や粉状化などの塩類劣化の典型例を紹介した。4.高見雅三・石崎武志(2012)「旧日本郵船小樽支店の建築部材の劣化と保存対策」『保存科学第51号』東京文化財研究所, pp.77-95.5.佐藤嘉則・木川りか(2015)「装飾古墳と生物被害」『平成25年度装飾古墳の保存に関する調査事業報告書』東京文化財研究所, pp.60-68.6.松尾隆士・田中享二・石崎武志(2005)「鉄筋コンクリート補強された歴史的煉瓦造建造物に生じる白華現象のメカニズム-煉瓦中の含水量が白華に及ぼす影響-」『日本建築学会構造系論文集第587号』日本建築学会, pp.23-29.7.文化財修理の実績がある撥水剤製造会社への聞き取り調査によると、撥水効果期間は5年程度や10年以上と会社によって大きく異なっている。また、製品の保証期間などは設けられていない。8.朽津信明・早川典子(2001)「文化財の保存を目的とした煉瓦の樹脂処理効果に関する研究」『保存科学第40号』東京文化財研究所, pp.35-46.9.日本れんが協会の事務局を務める、岡本煉瓦株式会社に問い合わせたところ、煉瓦の数量単位に統一されたものはなく、「丁」と呼んでいた時期もあったが、現在は「本」と数えることが多いという。そこで本稿では煉瓦の単位に「本」を用いる。10.合成樹脂剤を使用した建造物を調査したが、紫外線劣化する位置で整形された壁面で変色はみられるものの、その他の顕著な破損などは確認できなかった。11.註5筆頭著者への聞き取り調査によると、煉瓦などの近代建造物の生物劣化事例は、十分な調査・検討が進んでいない研究領域のため、生物の発生・繁茂の状態を定期観察を続け、情報の蓄積を進めて行く必要とのことである。12.森井順之・川野邊渉・山路康弘・粕谷博之(2009)「[報文]紫外線照射装置を用いた磨崖仏着生生物の除去」『保存科学48号』東京文化財研究所,pp.21-31.壁画や磨崖仏などへ地衣類・藻類、コケ類などが発生した場合には、紫外線照射装置を用いて除去が行われている。13.蔦類には、下垂れしながら生長するものと、気根を伸ばし上へ向かって生長するものがある。14.株式会社倉敷アイビースクエアの職員への聞き取り調査によると、アイビースクエアでは意図的に煉瓦壁のまわりに蔦をはわせており、年間2 ?3回、蔦の生長に合わせて剪定作業を行なっている。近年(ここ10年)、蔦類による劣化や破損は発生していないとのことである。15.褐斑病は、葉や茎に小さな淡褐色の斑点があらわれ、株全体にまで症状が拡がると株自体が枯れてしまう。6月中旬から9月末ころに最も発生する。16.止水処理の発想は、明治期から実施されているアスファルトなどを水平目地に流し止水目地とする工法にあり、今回この工法を現代の技術で応用した。17.石神敏(2015)「旧手宮鉄道施設機関車庫の保存修理」『文化財建造物の保存修理を考える第2回シンポジウム「文化財建造物修理の新たなる展開近代化遺産の保存修理」の記録』公益財団法人文化財建造物保存技術協会, pp.93-115.18.公益財団法人文化財建造物保存技術協会(2010)『重要文化財旧手宮鉄道施設(機関車庫三号ほか)保存修理工事報告書』小樽市, pp.138-139.19.地下水の侵入を完全に防ぐと地盤に影響がでると判断され、ピット床面は止水処理を施さず、建物の直下に侵入した水分の逃げ道を残した。20.煉瓦造建造物の保存修理工事に関する報告書はこれまでに50冊以上が刊行され、煉瓦の補修方法に関連する記述を確認することができる。ただし、多くの報告書では、劣化した煉瓦に対して「顕著な劣化」などという記述に留めており、補修した煉瓦をどのような判断基準の上、差し替えなどが行われたかについては不明な点が多い。そこで、報告書の中から煉瓦の補修に関して細かな基準について明記されたいた事例を紹介する。21.韮山町教育委員会(1989)『史跡韮山反射炉保存修理事業報告書』韮山町, pp.30-32.22.株式会社計測リサーチコンサルタント(2017)『平成28年度韮山反射炉維持管理事業韮山反射炉調査業務(温湿度計測・電子カルテ作成)』pp.9-12。23.損傷の判断基準については、伊豆の国市世界遺産課から提供頂いた資料から作成。24.株式会社鹿島出版会(2013)『重要文化財東京駅丸の内駅舎保存・復原工事報告書』東日本旅客鉄道株式会社, p.63、p.176、pp.323-324.25.株式会社鹿島出版会(2013)『重要文化財東京駅丸の内駅舎保存・復原工事報告書』東日本旅客鉄道株式会社, pp.254-255.26.株式会社鹿島出版会(2013)『重要文化財東京駅丸の内駅舎保存・復原工事報告書』東日本旅客鉄道株式会社, pp.325-332.27.保存修理工事時に文化財建造物修理主任技術者であった前堀勝紀氏からの聞き取り調査に基づく。あわせて、以下の資料を参考にした。公益財団法人文化財建造物保存技術協会(2010)『重要文化財旧手宮鉄道施設(機関車庫三号ほか)保存修理工事報告書』小樽市, pp.125-140.28.特注煉瓦の平面(面積が最も大きな面)には、一般に造成工程で機械切断された跡が焼成後も残るため、平面の一部が見え掛かりとなる迫元部分などには古煉瓦を使用するなど、色味や形だけではない配慮がなされている。その他にも、建物内に残存していた機関車から排出された煤を使用して、差し替えた特注煉瓦に古色仕上げを施している。29.財団法人文化財建造物保存技術協会(1991)『重要文化財山形県旧県庁舎及び県会議事堂保存修理工事報告書1旧県会議事堂編』山形県(生活福祉部生活文化課), pp.104-109.30.横井邦明(当時、新居浜市別子銅山文化遺産課課長)、「発表資料:旧山根精錬所煙突の保存活用-市民協働の実践の場-」、2012.10.7。31.新居浜市別子銅山文化遺産課提供資料:「旧山根精錬所煙突調査事業委託報告書」より作成。32.建築学会有志は、山崎鯛介、長谷川直司、津村泰範、志岐祐一、栢木まどかの各氏。補強案は津村、志岐の両氏による。33.壁面保存に至った経緯については、被災後に調査に入られた国立大学法人筑波大学社会工学域・都市計画分野の藤川昌樹教授に聞き取り調査(2017.3.10)に基づく。34.藤川昌樹著、野村俊一、是澤紀子編、「〈視点〉被害と復興の構図-災害時の歴史的建造物をめぐって」、『建築遺産保存と再生の思考災害・空間・歴史』、東北大学出版会、pp.171-176。35.本件の記述は、東京文化財研究所内で開催した「煉瓦構造物の保存と活用に関する勉強会」にて公益財団法人文化財建造物保存技術協会の遠藤優氏に発表頂いた保存修理工事内容(2016.7.14)と、保存修理工事時に文化財建造物修理主任技術者であった高橋好夫氏からの聞き取り調査(2016.12.16)に基づく。36.揚屋した壁面の荷重を利用しながら、適当な位置におさまるように目地材の量を調整しながら据え直し作業が行われた。37.煉瓦壁面の補修は、所有者の意向もあり外観意匠を優先し差し替えなどによる補修がおこなわれた。そのため、揚屋に伴い孔があけられた煉瓦も同様の補修が行われた。38.本件の記述は、誠之堂の移築工事に携わった、清水建設株式会社集合住宅・社寺設計部上席設計長の関雅也氏への聞き取り調査(2017.1.27)による。39.構造補強のため、切断される壁面の煉瓦は、1本1本番付され、同じ位置に貼り付けるため、表面だけ残しタイル状に切断された。40.財団法人文化財建造物保存技術協会(1991)『重要文化財山形県旧県庁舎及び県会議事堂保存修理工事報告書1旧県会議事堂編』山形県(生活福祉部生活文化課), pp.21-23.41.財団法人文化財建造物保存技術協会(1991)『重要文化財山形県旧県庁舎及び県会議事堂保存修理工事報告書1旧県会議事堂編』山形県(生活福祉部生活文化課), pp.259-261.112第6章煉瓦造建造物の保存と修復に関する事例集