ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

200本の鋼棒を設置するために、4台の機械で2ヶ月間削孔を行い、PC鋼棒が約1m間隔で2本ずつ挿入された(図7-10)。鋼棒を締め付けた際の壁面の収縮は2mm程度で、建具への影響はなく、内装材にほとんど手をつけることなく工事が進められた。また、鋼棒は壁体の上下で固定されているため、孔はモルタル等で充填されていない。図7-10平面図補強対象の壁を色をつけで表示(図版提供:株式会社竹中工務店)?所見本工事は、新たに構造躯体を設置するのではなく、既存躯体である煉瓦造にプレストレスを加えることで補強を図ろうとするものである。そのため、既存煉瓦躯体が補強後も主構造体であり続けている。煉瓦壁内には200本ほどの鋼棒が挿入されたため、躯体としての損傷は小さくないが、従来の鉄筋挿入やステンレスピンの挿入に比べると、金属棒挿入後に金属を固定させるための充填剤を流し込む必要がないため、金属棒劣化時などの交換が容易であり、その点では可逆性は高い。補強対象の壁謝辞本事例集作成にあたり、以下の方にご協力頂きました。ここに記し、感謝申し上げます。秋山貴宏(伊豆の国市)、井川博文(文化庁)、石神敏(小樽市)、石川新太郎(博物館明治村)、伊東龍一(国立大学法人熊本大学)、上野健(名古屋市市政資料館)、宇野康則(清水建設株式会社)、遠藤優(公益財団法人文化財建造物保存技術協会)、岡建司(株式会社文化財保存計画協会)、岡田敏夫(株式会社岡田煉瓦製造所)、岡田信一(株式会社岡田煉瓦製造所)、岡本耕也(岡本煉瓦株式会社)、岡野雅枝(富岡市)、小河内雅行(名古屋市市政資料館)、小野田滋(公益財団法人鉄道総合技術研究所)、木林長仁(一般財団法人日本建築センター)、北嶋裕(株式会社竹中工務店)、木下純(公益財団法人文化財建造物保存技術協会)、木村勉(公立大学法人長岡造形大学)、藏西誠(清水建設株式会社)、來本雅之(公益財団法人文化財建造物保存技術協会)、後藤泰男(LIXIL資料館)、小林裕幸(公益財団法人文化財建造物保存技術協会)、城本邦彦(同志社大学)、秦野親史(新居浜市)、関雅也(清水建設株式会社)、高橋好夫(公益財団法人文化財建造物保存技術協会)、高村功一(歴史的建造物修復コンサルタント)、中森勉(金沢工業大学)、西岡聡(文化庁)、西川英佑(ICCROM)、長谷川哲也(日本診断設計株式会社)、長谷川直司(国土技術政策総合研究所)、花里利一(国立大学法人三重大学)、藤川昌樹(国立大学法人筑波大学)、前堀勝紀(公益財団法人文化財建造物保存技術協会)、松下迪生(博物館明治村)、村上真善(NPO法人愛岐トンネル群保存再生委員会)、矢谷明也(舞鶴市)、横井邦明(新居浜市)(五十音順・敬称略)111