ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

FG13柱材を角型鋼管に変更し、梁はビルトH形鋼へ変更した。角型鋼管にすることで構造補強部材の形状を単純化させると共に、ビルトH形鋼にすることで梁の成を抑えることができ、当初の小屋組が確認しやすくなった。4面内方向もラーメン構造とし、構造耐力を上げることで、中折れブレースを取り除き、開口部廻りの意匠を維持し、内部空間の視線の抜けを良くした(写真7-7)46。5煉瓦壁を補強することで、水平ブレース材を取り除き、小屋組を確認しやすくした。?地盤改良建物全体の地盤改良は実施せず、構造補強部材の設置箇所に合わせて地盤改良杭が85本造成された(図7-8)。建物全体の地盤改良を実施した場合、急激な環境変化により不同沈下の発生などが懸念されたため、建物の周囲やピット脇に有孔管を埋設するなどし、地下水位の調整を図っている。写真7-7修理工事後の内観?煉瓦壁の補強煉瓦壁面には崩落防止のための補強と、構造補強躯体を受けるための金物を用いた補強の2種類が実施された。1東西妻面の登り蛇腹積みの崩落を防止するため、炭素繊維(トレカクロスUT70-20G(東レ(株))を貼り付ける補強工事が行われた。2正面のアーチを欠円アーチから半円アーチに復原するにあたり煉瓦壁内に補強鋼材を埋め込み、補強鋼材に高ナットを溶接して内部の構造補強部材と緊結した(写真7-7)。?所見構造補強方法の変更前と比較すると、中折れブレースや水平ブレースを取り除いたことにより、構造補強部材による内部の圧迫感が軽減された(図7-9)。また、柱の部材を鋼管に改めることで、構造補強部材の存在感を註減らしている47。構造補強部材と煉瓦壁面の取り合いに関しても、結合箇所を限定することにより壁面への損傷を最小限に抑えている。また、正面アーチ部分の積み直しにあたり、壁内に補強鋼材を埋設し、構造補強も兼ねるなど復原箇所と構造補強を連動させる工夫も見られる。写真7-8アーチ積み直し箇所に補強鋼材を埋設(出典:重要文化財旧手宮鉄道施設(機関車庫三号ほか)保存修理工事報告書)F3F3A地盤改良杭F3BF3A900∮F1,F1AF2,F3,F4F4F3AF47797792256751,000(基礎巾)F57797791,000779 779779F3B779 779675改良杭の基本間隔(900∮)675FG1FG1F3BF5基礎:独立基礎F4既存ピット地盤改良杭F3B 900∮F1F1地盤改良杭F3 F2900∮F2FG1FG1FG1FG1FG1FG1FG1F3AF4F4F1AF5F5F1図7-8地盤改良杭配置図(出典:重要文化財旧手宮鉄道施設(機関車庫三号ほか)保存修理工事報告書)Y2Y3Y41,908 1,908 1,488 1,489b2b2b3b3鉄骨上端CG1G2G2G1G1G1C1C1C1C1C2イーカプラ継手位置4,320軌条上端3202,000FG1F3A:試験施工杭BPL下端2,0602,252 3,8162,9773,542Y1Y1’Y2Y3Y4Y5図7-9構造補強後の断面図(出典:重要文化財旧手宮鉄道施設(機関車庫三号ほか)保存修理工事報告書)109