ブックタイトル未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技17 煉瓦造建造物の保存と修復

座金(55×55×4.5)全ネジボルトL1000×16木板90×60コンパネ12mmゴム板5mm写真5-23揚屋作業全景(出典:重要文化財シャトーカミヤ旧醸造場施設保存修理工事(災害復旧)報告書)図5-8揚屋養生枠図(出典:重要文化財シャトーカミヤ旧醸造場施設保存修理工事(災害復旧)報告書)引張補強材挿入鉄骨フレーム補強写真5-24揚屋した状態の煉瓦壁(出典:重要文化財シャトーカミヤ旧醸造場施設保存修理工事(災害復旧)報告書)ワイン倉庫ワイン倉庫南側煉瓦壁面据直し壁面アラミド目地補強図5-9構造補強概要図(出典:重要文化財シャトーカミヤ旧醸造場施設保存修理工事(災害復旧)報告書)?工法の説明揚屋する妻壁は、コンパネなどで両壁面を挟み込みボルト固定し、養生した上で、油圧ジャッキを当てがい揚屋した(写真5-23、5-24)(図5-8)。揚屋後は、切り離した段で破損した煉瓦を補足煉瓦で積み直し再設置を行った(写真5-25)。また、縦方向に鉄筋を挿入して亀裂上下壁面の一体性を高めている(図5-9)。なお、妻壁面の揚屋据直しでは、目註地幅の調整がうまくいかず何度か据え直し作業をやり直している36。写真5-25亀裂箇所の煉瓦積み直し(出典:重要文化財シャトーカミヤ旧醸造場施設保存修理工事(災害復旧)報告書)?所見揚屋据え直しによって壁面を補修することで、積み直しや差し替えを行う範囲を最小限にすることができ、亀裂上部の壁面の保存ができた。この工法は、組積技術、材料情報を守る上で効果的な方法と言える。特に意匠性の高い壁面の保存には有効である。ただし、再設置可能な位置(揚屋据え直し可能な重量)に亀裂が入っていることが、この工法の前提条件となる。また、揚屋する壁を養生するために、養生部材を固定する孔が壁にあけらたが、据え直し後に孔のあいた煉瓦が穴埋めによる処理ではなく、丸ごと差し替えられたことで註差し替え範囲が拡大した(写真5-26、27)37。写真5-26揚屋壁面の養生作業(写真提供:文化財建造物保存技術協会)写真5-27養生壁面を固定したボルト跡(写真提供:文化財建造物保存技術協会)99