ブックタイトル未来につなぐ人類の技15 洋紙の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技15 洋紙の保存と修復

損傷などの危険が残るため、処置を行う際は注意深く観察しなければならない(図23)。全ての処置を実施できない場合、インク内の二価鉄イオンと酸を周辺の紙に移動させないよう、できる限り少ない水分で部分的な修復を行うのがよい9)。クルーセルGでコーティングした修復紙を溶液で再活性化させることで、酸が移行する危険性を下げることができる。他の研究では、高/中程度のブルーム値のB型ゼラチンで作った再加湿可能紙を使うことも、紙やインクの酸化による劣化から保護することができるとしている。酸化は、二価鉄の自由イオンをカプセル化するゼラチンの力に依るもので、イオンを不活性化するものである10)(図24a?c)。化学的処置を実施しない場合は、脱酸性化薬品と抗酸化剤をしみ込ませた紙を交互に配置する処置を行うことが考えられる11)。AQUEOUSTREATMENTRISKS・Mayresultincolourchangetoinkandpaper・Riskofinkbleeding・Mayaltersurfaceoftheink・Purified water may remove calcium naturally found inpaper・May result in cracks and loss of substrate in degradedinkareasduetovariationsinwaterpenetrationproperties・Formationofwhitecrystals・Magnesium based deacidification treatments (pH 10and higher after drying) may cause discolouration of inkand paper図23湿式処置の危険性bマイラーを均一にコーティングするようゼラチンをならすa注射器で2%のB型ゼラチンをマイラーの上に広げる図24ゼラチンでコーティングした薄紙の準備cゼラチン層の上に薄紙を載せる60