ブックタイトル未来につなぐ人類の技15 洋紙の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技15 洋紙の保存と修復

用される近代の紙資料において、全てを長期的に保存することは前近代の紙資料に比して困難なものである。そのため、修理実施に際しては、管理者、有識者、修理者など各々の専門的立場において更なる議論を重ね、修理手法や修理哲学の確立形成を急ぐ必要がある。適切な処置機会や手法の見極めが肝要である本分野において、関係者間で総合的に「護る」体制を整えていく事が求められる。現段階では過剰な修理に陥ることを避ける目的で手を付けないという選択肢も含め、修理内容、使用する材料や技術についての精査および研究開発の促進を継続的に実施し、近現代資料の保存に関わる関係者間における意思の共有化にも努めていきたい。(写真1 ? 10、18 ? 24)沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館所蔵資料本稿を執筆するにあたり、同大学付属図書館・芸術資料館にご協力を賜りましたことを感謝いたします。参考資料池田寿,『日本の美術書跡・典籍、古文書の修理』No.480,至文堂,2006.エドワード・P.・アドコック編,『IFLA図書館資料の予防的保存対策の原則』,日本図書館協会,2003.王子製紙,『紙の知識100』,東京書籍,2009.尾鍋史彦,『紙の文化事典』,朝倉書店,2006.金児宰,『洋紙と用紙』,光洋出版社,1992,pp.250-259.紙の博物館,『紙のなんでも小事典』,講談社,2007.独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構職業能力開発総合大学校基盤整備センター編,『印刷・製本概論』,一般社団法人雇用問題研究会,1999,p.263.国立国会図書館,『コンサベーションの現在-資料保存修復技術をいかに活用するか-第6回資料保存シンポジウム講演集』,日本図書館協会,1996.国立公文書館編,地主智彦「近代文書群の文化財指定について」『アーカイブズ』36号,国立公文書館,2009.鈴木英治,『紙の劣化と資料保存』,日本図書館協会,1993.園田直子,『紙と本の保存科学』第2版,岩田書院,2009.田中経人,『文具の歴史』,リヒト産業株式会社,1972,p.129.東京紙製品卸商業協同組合組合史編纂委員会,『東京紙製品のあゆみ』,東京紙製品卸商業協同組合,1982,pp.43-44.日本化学学会監修,『紙とインクとリサイクル』,丸善,2000.日本図書館協会資料保存委員会,『資料保存ワークショップ記録集-資料はいつまで利用できるのか-』,日本図書館協会,1995.半田伸一監修,紙の機能研究会編・著,『おもしろサイエンス紙の科学』,日刊工業新聞社,2011.藤本孝一,『日本の美術古写本の姿』No.436,至文堂,2002.株式会社プリザベーション・テクノロジーズ・ジャパン,「国立公文書館所蔵歴史公文書に対する大量脱酸処理の実効性に関する調査報告書」,2011.文化庁文化財部監修,池田宏「歴史資料の重要文化財指定開始から30年を迎えて」,冨坂賢「近代文化遺産の保存と活用」『月刊文化財』11月号No.530,第一法規株式会社,2007.文化庁文化財部監修,文化庁文化財保護部,「近代の文化遺産の保存と活用について(報告)」『月刊文化財』2月号No.401,第一法規株式会社,1997.『文化財保存修復学会第36回大会研究発表要旨集』,文化財保存修復学会,2014.『文化財保存修復学会第37回大会研究発表要旨集』,文化財保存修復学会,2015.安江明夫・木部徹・原田淳夫編・著,『図書館と資料保存-酸性問題からの10年の歩み-』,雄松堂出版,1995.保存修復研究室編,米陀あやこ・小野慎之介「19世紀初頭イタリアの古地図に関する保存修復報告?教育機関における修復実習の一事例?」文化財保存修復学会第35回大会ポスター発表用配布資料,東洋美術学校,2013.渡邊明義・岡興造・石川登志雄,『装?史』,国宝修理装?師連盟,2011.Hinge,Tape and Adhesive Removal,Paper conservation Catalog,AIC Wiki,1992,http://www.conservation-wiki.com/wiki/Hinge,_Tape_and_Adhesive_Removal(アクセス日2015/10/07).装?修理技術を応用した日本の近現代紙資料の修理37