ブックタイトル未来につなぐ人類の技15 洋紙の保存と修復

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概要

未来につなぐ人類の技15 洋紙の保存と修復

れた。修理施工に際しては、ア)品質(筆記媒体を含む)の調査、イ)形状の調査、劣化状況の調査、ウ)品質に最適な修理材料の検討を行うこととした。3-2修理前の状況ノートに用いられている料紙は、主に大正時代に製造された日本製洋紙によるものであり、表1のとおり、数社のメーカー(現在も社名を変えて製造を続けているメーカーのものも含まれる)、数種の商品に大別される。繊維組成5)検査によると、針葉樹化学パルプと針葉樹6)機械パルプを主体的に用いた紙である事が判明した。また中には「透入り」7)のものもかなりの割合で存在している。料紙には、全体的に汚れの付着(写真3)や小口部分の折損(写真4)、一部には破損(写真5)や小口部分の欠失、水濡れ跡(写真6)が生じていた。ただし、崩壊や亀裂、断裁といった大きな損傷は全紙に渡りほとんど認められず、紙力もあり、比較的健全な状態と見受けられた。しかし、挿入や貼付されている新聞紙やワラ半紙については、酸化や酸性化によると写真4小口の折損表1調査ノート分類一覧メーカー分類料紙分類MY & Co:4冊Iwata & Co:2冊Nippon Note Gakuyohin(現:アピカ株式会社):22冊MARUGO(現:株式会社アルファファイブ):1冊不明(象のマーク):5冊不明(マーク無し):2冊不明(布、クロス、革表紙):4冊罫線ノート:36冊方眼ノート:4冊(※40冊中38冊は透入り)写真5破れ写真3汚れの付着写真6水濡れの跡30