ブックタイトル近代テキスタイルの保存と修復

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概要

近代テキスタイルの保存と修復

写真4 9号御料車鉄道博物館提供つの標準的なサイズに裁断して使用している。収蔵品を中性紙管に巻き付け、最後に埃除けと光からの保護のために綿布(コットンキャリコ)で覆い、コットンテープで留め付けている。筒の収蔵は、天井まで設置された引き出し式の収蔵用ラック(ネット型)に筒受けの金具を取り付け、アルミ製のパイプを通して掛けている(写真6)。一部、ラックが不足している箇所は、巻いた筒を棚に寝かして積み上げている(写真7)。立体的な作品や丸めて収蔵するのに向かない作品については、アルミ製の引き出しに平置きする収蔵方法をとっている。作品の下にポリプロピレン製のボードを敷き、中性紙を敷いた上に染織品を載せてポリプロピレンボードごと取り出す方式である(写真8)。着物については、状態の良くないものは引き出しに収蔵しているが、袖畳みでタトウに包んであるものは、そのまま中性紙製の保存箱に入れている。アルミ製の引き出しは高価なため数が不足しており、補充するのが今後の課題である。企画展示に向けて、修復部門を経由せずに収蔵庫から直接展示先へ輸送する場合には、展示用のクッションが付属のソフトマウントを作成する。状態の良い物はT字型直立スタンドにクッションを入れたもの、状態の悪い物は傾斜台を作成し、その上に展示する形で搬出する。一方、皺伸ばし等何らかの処置が必要な作品に関しては、保存修復部門へ回される。3-2大英博物館有機物収蔵庫大英博物館の有機物収蔵庫はロンドン市内のオースマン・ロードにある。一見したところ、何の変哲もない建物であるが、大英博物館の収蔵施設となっている。入口脇には人が入れる程の大きさの冷凍庫を備えており、タペストリーテキスタイルの保存と修復7