ブックタイトル近代テキスタイルの保存と修復

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概要

近代テキスタイルの保存と修復

写真3 6号御料車博物館明治村提供東海旅客鉄道株式会社所蔵25年6月実施)。3-1 大英博物館ブライズハウス(Blythe House)におかれている大英博物館(The British Museum)の染織品保存修復施設は、調査スペースを有する染織品収蔵庫として10年前に整備された。収蔵庫の広さは約90平方メートル、収蔵点数は20,000点に上る。本収蔵庫への移設の際には、全ての作品を冷凍処置(-30℃、1週間)している。展示等で貸し出した作品の返却の際にも冷凍処置(-30℃、3日間)が実施される。冷凍処置の際には、作品をポリエチレン袋に入れた状態で実施している。また、収蔵品管理者として1名の職員が常駐し、収蔵品の撮影、記録、展示用貸し出し等の輸送梱包まで責任を持って対応している。企画展示等がある場合には学芸部門からスタッフが派遣される。ブライズハウスは15名程が利用可能で、コンピューターも使用できる。調査スペース及びスタディールームが併設されており、研究者や学生、学芸員等が調査や研修で使うことができるようになっている。大英博物館では6週間に渡るミュージアムトレーニングプログラムを実施しており、様々な国からの参加者を迎えている。プログラムは博物館業務の概略を教える内容で、収蔵庫での研修も含まれている。また、ナイジェリアにおいて2週間の研修も実施している。その研修内容は、作品のハンドリング、収蔵方法、展示方法等である。この収蔵庫では、移設当初、多くの作品が畳んだ状態で棚や木箱あるいは紙箱に収蔵されていた(写真5)。しかし、皺や折れ跡がついて傷んでしまうため、立体的でない作品については丸めた状態で収蔵できるように変更した。この収蔵方法では、直径10 cmの中性紙管を36