ブックタイトル近代テキスタイルの保存と修復

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概要

近代テキスタイルの保存と修復

質疑応答より以下は、平成25(2013)年11月22日に開催された研究会での質疑応答と意見を、抜粋及び編集したものです。●テキスタイルの冷凍保存について水分(湿気)を含むテキスタイル作品を冷凍保存する場合、袋の中の水分がさらに増えて繊維が傷むということはないのですか。また、冷凍保存に適さない素材もあるのですか。テキスタイルの作品は、多くの場合、複合的な素材で作られているため、まず袋に入れる前に空気を抜いて緩衝材を入れ、封をしたのち冷凍室に入れています。もちろんこの方法に適さない作品もあるので、その場合は冷凍保存をしないという判断をしています。(クリス・ポロスィック)袋を開けて作品を解凍すると水分が出るので、その水分を袋の中に残さないように注意します。ですから、解凍する際には袋を開いて水分をよく蒸発させることが必要です。また、さまざまな素材が含まれている場合は、きちんとした分析や検証を行い、冷凍保存に適しているかどうかを判断しています。(マリオン・カイト)●ガラスビーズの保存についてガラスビーズの保存環境は湿度40%以下という発表を聞いたことがあるが、実際にどのような方法をとっているのですか。我々の施設では財政的な問題により、そのような保存環境で衣装専用の保管場所はありません。そのため必要な場合は専用の箱を作り、その中に脱酸素剤などを入れて適切な環境を作るよう努めています。ただ、コレクションの数も多く、今後いろいろな問題が発生すると予想されるので、財政的な問題が解決されれば、空調や環境の整った、より大きな保管場所を確保していきたいと思っています。(マリオン・カイト)●保存することが非常に難しい現代服飾作品の保存について1970年代以降の衣服の素材が、従来の素材より劣化しやすいものとなってきているように感じます。こうした素材を博物館・美術館で保存する場合、100年間、保存が可能かどうか疑問に感じ質疑応答より71