ブックタイトル近代テキスタイルの保存と修復

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概要

近代テキスタイルの保存と修復

衣装コレクションにおける現代の素材クリス・ポロスィックロイヤル・オンタリオ博物館主任コンサヴァター私は長年にわたり保存修復に携わっており、カナダ文化財研究所(Canadian ConservationInstitute以下、CCI)を経て、メトロポリタン美術館コスチューム・インスティテュート(TheCostume Institute, the Metropolitan Museumof Art)のコンサヴァターとして膨大な量の衣服や装飾品と接する機会を得てきた。1990年代半ばから始まる収蔵品の劇的な増加は、実験的な組み合わせと技術を凝らした最先端の素材をコレクションにもたらすこととなった。これらの素材は、金属や木材、プラスチックと組み合わせられている成型レザー、樹脂、電子部品、ホログラムなどに及んでいる。このような流れから、新技術を衣服に導入する革新的な試みで著名なファッション・デザイナーである三宅一生、山本耀司、川久保玲らの服飾作品がコレクションに加えられていった。こうしたデザイナーの多くは、独自で生地を生み出すため、直接染織作家たちに生地の作成を依頼してきた。いつしか我々は、発光する衣服写真1スティーブン・ジョーンズ(Stephen Jones)による帽子160