ブックタイトル近代テキスタイルの保存と修復

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概要

近代テキスタイルの保存と修復

テキスタイルの保存と修復中山俊介東京文化財研究所保存修復科学センター近代文化遺産研究室室長1.はじめに近代文化遺産研究室では、平成24(2012)年度に御料車の保存と修復に関する調査研究を行い、関係者を招き研究会を実施した。その際に、車両そのものの保存と修復もさることながら、車内の壁や天井、家具や調度品など動く芸術品とまで言われる室内装飾に使われている豪華な織物の保存と修復も大きな問題である点が指摘された。このため、平成25(2013)年度はテキスタイルの保存と修復に関して調査を行い、関係者を招いて研究会を実施した。2.近代文化遺産としてのテキスタイル一口にテキスタイルと言っても、古くから続く衣服等も含まれることになるが、今回、調査研究の対象としたのは、近代(明治時代)以降に作成された装飾品および衣服、また近代以降に出現した新たな材料を使った衣服や靴等のテキスタイル製品である。代表的な近代テキスタイルのひとつと言えるのが、前述した御料車に使用された装飾品や家具調度類であろう。写真1は1号御料車(初写真1 1号御料車(初代)鉄道博物館提供4