ブックタイトル近代テキスタイルの保存と修復

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概要

近代テキスタイルの保存と修復

はじめに東京文化財研究所保存修復科学センター近代文化遺産研究室では、多くの関係者の協力を得ながら多種・多様にわたる近代の文化遺産の保護に資する基礎的な調査研究を続けています。平成10(1998)年度からこうした研究活動の一環として近代文化遺産の保存と修復に関する研究会を毎年継続して開催し、研究成果の公表と保存情報の共有化に努めています。これまでの研究会では、科学技術の進歩を代表する乗り物─船舶、鉄道、航空機─や、近代産業を支えた鉄骨造及びコンクリート造などの大型構造物、製造機械、さらには近代建築に使用されている油性塗料や皇室専用の鉄道車両である御料車などに焦点を当て、保護の現状と修復などの課題について研究してきました。おかげさまで、以前から近代文化遺産の保存修復の研究に携わってきた研究者らと文化財保存・修復とは異なる分野の専門家の交流を生み出し学際的な研究を進める契機となるなど本研究会が実りあるものであると評価されています。平成25(2013)年度は、「近代テキスタイルの保存と修復」と題し、伝統的な技法・素材から合成素材までを含む近代テキスタイルのうち、特に洋装に焦点を当てた研究会を開催しました。参加された国内外の修復技術者や近現代の合成素材を科学的に分析する専門家からは各テーマに基づき保存と修復の事例や現状について報告があり、そののち活発な議論が交わされました。本書は、今回の研究会の成果を取りまとめたものです。研究会の実施および本書の作成にあたり、関係の方々に多大なるご協力・ご高配を賜りましたことに心からの謝意を表します。平成27年3月31日独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所所長亀井伸雄はじめに1