ブックタイトル近代テキスタイルの保存と修復

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概要

近代テキスタイルの保存と修復

いる。洗浄テーブルは、片側の脚にジャッキが取り付けてあり、テーブル全体を傾けることで排水しやすくなっている。作品が大型の場合は、テーブルをこのまま使うが、小型の場合は洗浄テーブルをパイプで細かく仕切ったり、プ写真9冷凍処置用の冷蔵庫Reproduced by kind permission ofthe British Museum, London.c The Trustees of the British Museumラバットを使用したりして洗浄を行っている(写真11)。この洗浄テーブルにはヒーター機能があり、加温した状態で作業ができるが温度のムラができてしまうため、通常は使用していない。また、加湿加温の可能なサクションテーブルは、通常は乾燥用としてのみ使用し、加湿加温の機能は5年に一度使うかどうかという程度である(写真12)。染織品の収蔵方法として興味深いのは、立体的な作品を収蔵する際に、作品の形状を再現した状態で収蔵できるようにしていたことである。例えば靴下の場合、ウール素材が失われている部分をネットで補い、中に足の形の詰め物をし、靴下が着装されている状態で収蔵している(写真13)。これは立体的な作品を守る知恵である。また、同じ立体物でも一部分しか作品が遺っていない場合は、ポリエチレン製の板状のフォー写真10修復室Reproduced by kind permission of the British Museum, London.c The Trustees of the British Museumテキスタイルの保存と修復9