ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真24共同研究調査6.まとめ1.台湾の御料車の特徴:日本にある御料車と比較すると、台湾にある御料車の特徴が明確にわかる。台湾の湿気や気候を配慮し、木彫刻、ステンドガラスなどを多く使い、絹織物のインテリアを減らし、また通風の仕掛けを設けたことである。台湾の御料車が一見比較的に簡素であるが、それは台湾の環境に適応し、保存しやすいためと思われる。2.調査で判明したこと:ひどく破損した場所は少ないが、異なる時期の調度品及び過去の改造・修繕が混在している。各時代の調度品を明らかにするため、詳細な調査が必要である。そして、現状で保存するか、ある特定の時代の姿で復元するかを判断しなければならない。3.詳細な実測・調査・分析の必要性:今回は調査時間が限られ、初歩的判断しかできなかった。したがって、これからは文献、構造、材料、内装、外装、装飾、家具、照明、器具、設備、痕跡などの調査を行い、正式な修繕・展示の前に詳しく実測・分析し、各時期の実態を把握する必要がある。4.修復に携わる組織:将来の修復に関しては車体、塗装、織物、家具、木彫刻、ステンドガラス、絵画、インテリア、文化財などの専門家の協力が必要である。修復の組織を編成し、台湾の御料車にも詳しい日本の御料車の専門家たちと交流することが重要である。5.活用に関わる課題:現在、台湾では本格的な鉄道博物館がないため、御料車は車庫に保存され、鉄道日などの祭日のみに一般公開されている。詳しい研究調査を行わない限り、ふさわしい修繕や維持管理は困難である。これからは台湾鉄路局の保存と活用の対策が肝心であろう。参考資料・注釈*1*2平成24年度研究会「御料車の保存と修復及び活用」にてご講演いただいた。車両記号がトク1およびトク2であったため『台湾行啓記録第十一冊』において、それぞれオトク第一号、オトク第二号と記された。それに基づき、本稿ではオトク第1号、オトク第2号と記す。*3民国紀元。中華民国暦。(写真1)『台湾鉄道史』下卷台湾總督府鉄道部(1911)(写真23)『行啓紀念寫真帖』台北市役所(1923)『台湾鉄道史』中卷台湾總督府鉄道部(1910)『台湾總督府鉄道部第七号年報』明治38年度(1906)、『台湾總督府鉄道部第十四号年報』大正元年度(1913)、『台湾總督府鉄道部第二十四号年報』大正11年度(1923)台湾總督府鉄道部台湾總督府官房文書課『台湾行啓記録第十一冊第二十冊』台湾總督府鉄道部(1923)中原大学建築学系『台湾鉄路管理局台北機廠鉄道産業文物清査研究計画』台湾博物館(2010)中原大学建築学系『台湾鉄路管理局国宝級花車現況修復診斷計画』台湾博物館(2010)台湾の御料車について97