ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真3写真4主室の現状次室の現状2.「貴顕用特別客車」の新造大正元(1912)年度の『台湾總督府鉄道部第十四号年報』によると、大正天皇がまだ皇太子殿下でいらした時代に台湾を視察する予定があり、そのための客車がその年度に新造されたとある。それが現在のSA4101である(写真7)。基本仕様は次の通りである。製造工場:台北工場形式:四輪ボギー式寸法:長五十四呎(連結機頭間)、幅八呎七吋自重:二十四噸車体:車体台框[枠]は在来の九十六人乗ボギー車同型のものを使用し、骨組み、床、屋根、外部羽目などにはチーク材を使用し、内部羽目及び装飾材には夫々台湾産木材を適宜に配置使用する。外部塗装:車体外部は横羽目張にして漆下地、クリムソンレーキ(深紅色)五回塗り、ヴァニシュ五回仕上る。内部塗装:内部の台湾産木材はすべて白く数回仕上げ、柱、窓枠などは全部黒塗漆磨く。設備:電気装置はストーン式を採用し、真空制動機セーフティーチェン及びトーペンドー式通風器を設ける。製造費:金三万九千二百四十七円十三銭この車体の中央部には主室を配置し、その前方には次室と洗面室、その後方は食堂と供進室を配置する。乗降口は前後2つのほか、次室の左右に開き戸が設けられる。各室の概要は次の通りである(図2)。写真5休憩所(旧食堂)の現状また、このオトク第2号の大正9(1920)年の図面から戦後に写したものが残されている(図3)。それと下記の内容とは比較することができる。後に食堂が休憩所に変更されたことや各室の家具の変化などがうかがえる。写真6供進室の現状88