ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真2台湾鉄路局花車SA4102の現状台湾鉄路局所蔵るゆえ、台湾総督府は新たな客車を建造し、明治38(1905)年度より使用し始めた。『台湾鉄道史』によると、それは内地の鉄道作業局(明治30(1897)年8月18日に創設された逓信省の外局)所有の御料車を参考にし、電気扇風機及び電灯を設けたものであることがわかる。それが「特別客車」と呼ばれ、現在のSA4102となる(写真2)。明治38(1905)年度の『台湾總督府鉄道部第七号年報』によると、この「特別客車」は鉄道局の台北工場にて明治37(1904)年度に製造された。その基本仕様は次の通りである。形式:制式ボギー式寸法:車体全長(緩衝器間)四十六呎二分の一吋車体最大高十一呎八吋車体最大幅(フートステップ間)八呎七吋ボギー中心より中心まで長二十六呎八吋自重:十八噸八分設備:電灯八燭光(十六ボルト)七箇電扇(十二吋)四箇原動機:ストーン式発電機製造費:金二万四百五十四円二銭六厘図1特別客車オトク第1号1920年の図面台湾鉄路局所蔵現在、台湾鉄路局に残されている大正9(1920)年の図面によると(図1)、中央部には主室を配置し(写真3)、その前方には次室(写真4)と洗面室、その後方には食堂(写真5)と供進室(写真6)を配置する。乗降口は前後の出入り口のほか、次室の左側及び食堂の右側に開き戸が設けられている。主室には貴賓用ソファと陪賓用安楽椅子2脚及び長方形テーブルが、そして次室には長椅子2つが置かれる。食堂には食卓が、供進室には長椅子及び冷蔵庫が置かれる。台湾の御料車について87