ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

小泉和子日本家具道具室内史学会会長台湾の御料車について*1○黄俊銘台湾中原大学建築学系副教授黄玉雨台湾中原大学設計学院博士候選人はじめにとく督そう現在、台湾に現存する御料車は、通称「総か花車しゃ」(明治37(1904)年製造戦前のオトク第1号*2)と通称「皇太子花車」(明治45・大正元(1912)年製造戦前のオトク第2号*2)の2両である。戦後昭和27(1952・民国41*3)年、オトク第1号と第2号は改造され、それぞれにSA4102とSA4101の番号が付けられ、台湾省主席と大統領の専用車両となった。現在、しちとそれらの車両は、台湾鉄路局の七堵調車場(操車場)に保管されている。鉄道日などの祭日のみに一般公開となる。1.「特別客車」の製造台湾の御料車は、貴賓を接待する「特別客車」から改造されたものである。台湾が日本の統治時代に入ってから、多くの日本の貴族は台湾を訪れた。しばらくの間、台湾総督は清領時代に使われていた小形ボギー客車に改造を加え、「貴顕乗用客車」として貴賓を乗せていた(写真1)。明治33(1900)年4月より、その名称を廃し、客車は「一等ボギー客車」に編入されたが、依然として貴顕の乗用に供された。その年度の『鉄道年報』を見ると、「特別客車」は16人乗り1両の記載がある。しかし、その車体は狭く、設備が不完全であ写真1「特別客車」86