ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真8ポリエステルネットによる椅子のカバーリング写真10ネットを椅子の足への固定した部分写真9カバーリング後の長椅子写真11ブラインドのカバーリング見えるように垂らした。7号御料車は旧読売ランドに展示されており、侍従用の長椅子は生地が大きく破けていた(写真12、13)。これもネットで覆い、取り扱えるようにした。遠目に見ると破けた状態はほとんど分からない(写真14、15)。移設のための養生移動中に発生する埃から保護し、また移動のために車内に作業者が入るため、椅子類はレーヨン不織布で覆った。鉄道博物館移設後に不織布を取り除いた(写真16、17)。5.おわりに御料車の保存処置は暗い車両の中で一つ一つ慎重に作業を進めた。事前の写真資料はほとんどなかったため、一つずつ家具を移動しながら作業をしたが、御料車の室内調度品は各時代の工芸の粋を集めたもので、光で照らすと息を飲むほど美しい調度品が浮かびあがった。まるで眠りについている御料車の目を覚ましてゆく作業で心躍る経験であった。本事業は国宝修理装?師連盟が受託し、山本記子副理事をチームリーダーに、株式会社松鶴堂染織部門の城山好美さんと依田尚美さん、染織品保存修復士の山崎真紀子さんと共に実施した。84