ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

柄は日本的なものである。壁面は琥珀色の光沢のある絹織物が張られており、藍色の包みボタンで留められている。壁面や扉、窓を囲むように配された帯には藍と金糸で丸に雲と小葵文の連続文様が用いられ、天井は菊と楓の模様を織り出した琥珀色の張地となっている。カーテンの生地は鳳凰と鳩、菊と唐草文様となっている。次室に通じる扉は玉座を中央にして左手に桜(左近の桜)、右手に橘(右近の橘)の図柄が雀と共に描かれ花や実、幹の一部、雀に刺繍が施されている1)。現在は国指定重要文化財として鉄道博物館にて保存展示されている。(写真1)車が必要となった際に改装された、御料車では唯一のドイツ製輸入車。全長8.19 m、全幅2.54 mの木製2軸客車。全体的な雰囲気は1号御料車よりも洋風であるが、所々使われている文様は日本的である。壁面には金茶色を基調としたビロード生地が使われている。カーくもたてわくテンは琥珀色で雲立涌と菊の文様となっている。この車両の特筆すべき点は油灯ランプと電灯が併用されていることである。電灯のガラスカバーには菊花文と曲線による意匠が施されている1)。明治40(1907)年に鉄道会社が国有化され御料車も国鉄籍となり現在は鉄道博物館にて保存展示されている。(写真2)2 2号御料車(初代)明治24(1891)年私設鉄道である九州鉄道会社が貴賓車としてドイツの会社を通じて購入し小倉製作所で組み立てた。その後、明治35(1902)年熊本での陸軍大演習の際、御料3 3号御料車(初代)明治31(1898)年新橋工場にて製作された。木製2軸ボギー車であり、御料車としては最初のボギー車。1号御料車(初代)よりも一回り大形である。写真2 2号御料車(初代)鉄道博物館提供6