ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真43御食堂の窓枠保存処置前(11号御料車)10号御料車は平成19(2007)年の鉄道博物館開館前に東京総合車両センターおよび鉄道博物館でクリーニング等の保存処置を行ったが、開館後約4か年を経て追加の保存処置が必要との依頼を受けた。保存処置の内容は10号御料車が一部の外板と窓、御料車内部および家具調度のクリーニングを重点的に行った。クリーニングは、初めに繊維に埃を吸着させた後に消毒用エタノールを面棒や綿布に付けて汚れを丁寧に拭き取った。ガラスはガラス専用クリーナーを使い汚れや油を除去した。作業は夜間のみとし、数日で保存処置を終了した。写真44御食堂の窓枠保存処置後(11号御料車)が、この部分は対象外とし、木枠のクリーニングのみを行うこととした。初めに、窓枠のラベルは丁寧に剥がした後、アセトンを用いて木枠表面に残るテープの粘着剤を除去した。次に綿布と水や消毒用エタノールを用いて木枠に付着した埃や汚れを取り除いた。流れた顔料と思われる箇所についても担当者に確認の上で他と同様に拭き取った(写真43、44)。クリーニングは筆者が担当した。5.御行幸に関わる保存処置平成22(2011)年に今上天皇陛下の御行幸に際し、さいたま市の鉄道博物館に展示されている10号御料車の一部に追加の保存処置を行った。6.国立台湾博物館所蔵「御料車関連資料」の保存修理国立台湾博物館資料の修復計画を受け、「菊紋Medal」一対の調査および保存修理を平成18(2006)年12月に台北の国立台湾博物館で行った。6-1菊紋Medalの概要名称:菊紋Medal一対所蔵番号:AH-1229-1, AH-1229-2由来:大正12(1923)年4月の皇太子裕仁親王の台湾視察の際にご乗用されたお召し列車(貴賓車両SA4101)の外板に取り付けた菊紋。所蔵:国立台湾博物館(National TaiwanMuseum)所在地:台湾台北市中正区228和平公園内博物館の沿革:日本統治時代の明治41(1908)年に台湾総督府の博物館として設立。台湾最古の博物館で、昭和24(1949)年には「台湾省立博物館」、平成11(1999)年には「国立台湾博物館」に改名された。開館当時の所蔵点数は1万点以上と言われ、台湾の歴史と自然を中心に民族、地質、鉱物や生物に関する展示を行っ御料車における内外装の保存処置―漆工・木工など75