ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

取りながらリューターで削った。背面の木枠と背面板の段差に厚みを調整したスプルース(マツ科トウヒ属)の角材を用意し、ステンレスの木ネジで木枠背面内側に固定した(写真38)。保存処置を行った結果、綴織が本来の位置に戻り、問題がなく展示できるようになった(写真39、40)。漆塗装部分のクリーニングは筆者、染織部分は須藤良子氏(女子美術大学)、木地部分は青木宏樹氏(東京芸術大学)が担当した。4-3窓枠と刺繍板(11号御料車)の保存処置4-3-1窓枠の概要窓枠は昭和41(1966)年に解体された11号御料車御食堂室の部材で、大正11(1922)年に高村光雲が監督を務めて制作された。木枠と桟を設け、桑色から黄色の絹織物を上部に、そかきの下に四季の花卉を彫刻して彩色を施す。窓枠は2面あり、同じ文様で加飾される(写真41)。法量:1090×1365×25 mm。4-3-2窓枠の損傷状態木枠や桟に汚れが付着していた。また、彫刻部分の顔料や金彩の剥落が著しく、木枠表面に流れた跡が認められた(写真42)。このことから雨などによって損傷が進行したものと思われる。木枠の下部は使用や紫外線劣化等によって擦れた状態になっていた。また、解体した後にラベル(RH9御料車11号御料車26窓枠1-2)が貼付られていた。4-3-3窓枠の保存処置食堂室損傷は彫刻部分の彩色箇所に多く認められた写真39仕切保存処置前(11号御料車)写真41御食堂の窓枠保存処置前(11号御料車)写真40仕切保存処置後(11号御料車)写真42御食堂窓枠の保存状態保存処置前(11号御料車)74