ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

ページ
73/106

このページは 御料車の保存と修復及び活用 の電子ブックに掲載されている73ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

御料車の保存と修復及び活用

・修復対象資料一覧資料名員数御料車番号所蔵櫛形妻飾り(刺繍)1枚4号鉄道博物館大鏡1枚8号鉄道博物館扉(綴織)1枚8号鉄道博物館妻仕切り袖板1枚8号鉄道博物館窓枠8枚11号鉄道博物館刺繍画(桜と鳥)1枚11号鉄道博物館妻仕切り袖板1枚鉄道博物館櫛形妻飾り(螺鈿)1枚鉄道博物館大卓子(2代3号)1基2代3号JR東日本衝立(2代3号)1基2代3号JR東日本大卓子(2代2号)1基2代2号JR東日本写真30大鏡保存処置前(8号御料車部材)ルのセットや1960(昭和35)年に製造された現1号御料車の玉座・テーブルのセットなども出品された。解体部材は梱包されて木の保存箱に入れられ、東京総合車両センターの倉庫に保管されていたものであった。解体から44 ? 54年経過した資料の保存状態はそれぞれ異なっていたが、著しく損傷を受けていた資料も認められた。保存処置は鉄道博物館内部で短期間に行い、数人の技術者が携わった。下記に主な資料の保存状態とその処置についてまとめる。写真31大鏡のカビと埃保存処置前(8号御料車部材)4-1大鏡(8号御料車)の保存処置4-1-1大鏡の概要8号御料車御座所妻側に取り付けられていた大鏡は総体を深紅色の漆塗とし、中央に鏡を配し、周囲の小格子の下張地内には金箔銀箔散らしの綴織が貼り込まれる。鏡周囲の枠縁は唐戸面として金蒔絵を施し、6か所に金鍍金した銅製透し飾り金具を配置する。小格子の外側に木地枠を廻している(写真30)。に入れられ保管されていた。保管箱の密閉状態が良好でなかったことから通常では考えられない黒っぽい埃や汚れが全面に被っていた。漆塗りの鏡の枠や小格子部分には水損が認められ、白く輪染みになっていた。空気の動きがあったためか、カビの付着は視認できる程度ではなかったが、虫糞の付着が見られた。綴織りに散しゅうからされた銀箔に銹化が見られ、灰色となっていた(写真31)。法量:1015×983 mm制作年:1916年制作:綴織りは川島織物(川島甚兵衛)、漆塗りは不明4-1-3大鏡の保存処置構造上の損傷が認められないため、表面に被った埃や汚れを取り除く損的な処置に留めた。鏡と漆塗装部分に被った埃を毛先の柔らかい刷4-1-2大鏡の保存状態大鏡は昭和31(1956)年に解体され、木箱毛で払い、精製水と消毒用エタノールで丹念に埃と汚れを取り去った。水による輪染み部分は御料車における内外装の保存処置―漆工・木工など71