ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

ページ
72/106

このページは 御料車の保存と修復及び活用 の電子ブックに掲載されている72ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

御料車の保存と修復及び活用

写真29御料車外板のクリーニングテスト(7号御料車)ングテストを行った。テストには精製水、消毒用エタノール、ミネラルスピリット、テレメン、ガムテレピン、テレピン、ベンジン、リグロインの8種類の水と溶剤を使用し、綿布に滴下して塗装面の汚れを取った。テストは対象箇所と綿布に付着した状況を記録に留めた(写真29)。テスト後の塗膜表面の状態や綿布についた付着物などを検討してクリーニングに使用する材料を総合的に判断した。3-4-2御料車外板のクリーニング御料車外板のクリーニングは対象の御料車が鉄道博物館移送後の平成19(2007)年6月に行った。初めに、筆者が関東自動車整備(株)の作業員にクリーニングの注意点を指導した。クリーニングは天井上の厚く積もった埃をクリーナーで取り去ることから始め、外板部分の上部から下に向かって作業した。クリーニングは初めに刷毛で埃を払い、綿布にガムテレピンを染み込ませて軽く表面の埃や汚れを取り去った。外板を平均的に拭き取るため、綿布の内側に柔らかい硬質スポンジを包んで作業した。クリーニング作業後には全体の埃や汚れが取れたまだらが、塗装面の劣化した斑な部分などはそのままとなった。4.鉄道博物館特別企画展に関わる保存処置鉄道博物館開館三周年特別企画展「御料車?知られざる美術品?」開催(展示期間平成22(2010)年10月9日?平成23(2011)年1月16日)に先立ち、展示資料の保存処置を行った。この展示は明治から昭和に製造された御料車の貴重な装飾美術品を三期に分けて一挙に展示する企画で、通常展示されている以外の資料を歴史などとともに解説した稀有な企画展であった。特に漆関連の資料では、大正5(1916)年に貞明皇后の御乗用のために製造され昭和31(1956)年に解体された8号御料車や、大正11(1922)年にイギリス皇太子エドワード・アルバート公来日に際して食堂車として制作され、昭和41(1966)年に解体された11号御料車の部材が展示された。また、昭和8(1933)年に皇后(香淳皇后)・皇太后(貞明皇后)用として製造された2号御料車(2代)の玉座・テーブ70