ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

御料車の保存と修復中山俊介東京文化財研究所保存修復科学センター近代文化遺産研究室室長はじめに近代文化遺産研究室の研究会のテーマとして、今回は皇族方の移動に供された“御料車の保存と修復”について取りあげた。御料車と呼ばれるこれらの車両は「動く美術工芸の粋」と言われるほど製作された時代の最新の技術、最高の材料を追い求めた車両であり優れた美術工芸品という見方もできる。また、鉄道技術の変遷を知るうえでも現存する貴重な資料であり技術的にも非常に重要なものである。御料車の内部を飾る各種の美術工芸作品や工芸技術をもって彩られた外部の保存と修復に関してその問題と解決するための方策についてここに記す。御料車の現状最初に現存する御料車の概要を紹介する。1 1号御料車(初代)明治9(1876)年イギリス人監督のもと神戸工場にて製造。全長7.34 m、全幅2.16 mの木製2軸客車。車軸、軸受、台枠部分はイギリス製。車内及び外装は日本製。全体的な様式はイギリス式だが使われている文様や図写真1 1号御料車(初代)鉄道博物館提供御料車の保存と修復5