ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真119号御料車御食堂の内装写真12窓周辺の菊唐草の彫刻(9号御料車)3-2-2 7号御料車・9号御料車の保存状態7号御料車はよみうりランドに展示された経緯があり、当時の事を記憶しているJR担当者の話では、見学者を内部に入れていたという。このことが原因と言い切れないが、内部の埃や汚れが酷く、出入口付近や廊下壁面などの漆塗膜の劣化が進行して斑を作っていた(写真13)。御座所入口の丸柱の高蒔絵は擦れて高蒔絵表面の金粉が欠失していた(写真14)。また、カビの付着が各所にあるほか、蒔絵の剥離や木地の亀裂が一部に認められた。漆塗装の一部に後世の修理による漆塗りが入っていた。外板部では出入口ステップ上部に剥離と剥落が認められ、剥落片がステップに落ちている状態であった(写真15)。9号御料車は全体から見れば比較的状態が良好であった。カビはラック塗装の調度や璧面、蒔絵上の一部には付着していたが、桑材表面にはほとんど認められなかった。しかし、桑表面に染みがあることから、一時期にはカビが付着していたものと考えられた。扉に描いた宝相華文様の高蒔絵に剥離箇所が認められ、非常に危険な状態であった。3-2-3 7号御料車・9号御料車の保存処置7号御料車と9号御料車は内部に設置された防虫剤のにおいや作業時に使用する溶剤の換気をするため、業務用の換気装置を設置した(写真16)。次に、埃をHEPAフィルター付きサ御料車における内外装の保存処置―漆工・木工など65