ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

に移動、9号御料車は昭和24(1949)年から旧交通博物館に展示された経緯がある(注3)。7号御料車および9号御料車の内装には折上二重天井造りで、下天井は小格子とするなど日本の伝統的な城郭や仏閣などを髣髴とさせる構造となっている。主な構造材を深い朱塗りとし要所に金鍍金した金具を打つ。天井や壁面などのいたるところに日本の伝統的な文様を絹織物、刺繍、綴織で彩る(写真9)。御座所の扉周囲は漆塗り螺鈿の装飾がなされ、扉は深朱色と緑色の石目地塗りに宝相華文様を夜光貝の螺鈿と金の高蒔絵で装飾する(写真10)。扉の周囲には明るい朱塗りと金の高蒔絵で加飾した丸柱を取り付ける。櫛型妻飾は鳳凰と菊紋章を七ごけんじだな宝焼で彩り、御剣璽棚は桜材の透漆塗りに螺鈿の花散らし文様とする。9号御料車は7号御料車と8号御料車に付随する食堂車として初めて制作され、内装に桑木地をふんだんに用いた。御食堂は桑の無垢材に摺漆を行い、各面の縁周りに金蒔絵を施す。妻側の壁面には桑木地に夜光貝の螺鈿と金銀の高蒔絵で鳳凰や宝相華文様を表す(写真11)。扉には上部中央に十六八重表菊を金の高蒔絵で付ける。窓枠上部などには各所に菊唐草の透かし彫刻を配す。彫刻は背面を群青の岩絵の具、金唐草の一部に金彩を入れる(写真12)。後位御けやき休憩室の壁面は欅のラック仕上げとしている。写真10扉の石目地塗りと蒔絵螺鈿(7号御料車御座所)写真97号御料車御座所の内装64