ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真4御座所折りたたみテーブルのカビ(初代2号御料車)写真5椅子の彫刻と埃保存処置前(初代1号御料車)3-1-3 1号御料車と2号御料車の保存処置1号御料車は広い面積に絹織物が用いられているため漆工および木工部を対象にした保存処置箇所は少ない。木部の埃をHEPAフィルター付きサイクロン掃除機で吸い取り、全体に水や消毒用エタノールと綿布を用いて全体に拭き取った。彫刻部の奥に入ってしまった埃は綿棒を用いて丁寧に除去した(写真5、6)。木画剥離箇所は処置対象外とした。窓内部に関しては構造部材をすべて持ち上げてクリーニングはできないため、外面の見える範囲内を対象とした。2号御料車は1号御料車と同様の方法をとったが、カビが長年に亘って漆塗装面に付着していたものと考えられ、綿布と固いスポンジや木箆を使って広い壁面や隅のカビを丁寧に取り去った。カビは塗膜表面に損傷を与えるため、カビが付着していた部分は僅かではあるが曇った表情になった(写真7、8)。写真6椅子の彫刻と埃保存処置後(初代1号御料車)写真7漆塗り壁面のカビ保存処置前(初代2号御料車)3-2 7号御料車および9号御料車3-2-1 7号御料車・9号御料車の概要7号御料車と9号御料車は大正3(1914)年に新橋工場(大井工場)で製造され、大正天皇の即位に用いられた。昭和10(1935)年に廃車となり初めは大井工場に保管されたが、7号御料車は昭和27(1952)年からは旧交通博物館、昭和41(1966)年からはよみうりランド写真8漆塗り壁面のカビ保存処置後(初代2号御料車)御料車における内外装の保存処置―漆工・木工など63