ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

ページ
61/106

このページは 御料車の保存と修復及び活用 の電子ブックに掲載されている61ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

御料車の保存と修復及び活用

を着用し、そして事前にトンネルの一番狭い箇所の狭さを体感していただいて初めて見学者は特別通路へ足を踏み入れることができる(写真38)。もちろん自由見学ではなく、一度に10人程度の見学者に対して1名のスタッフ若しくはボランティアが、見学の諸注意事項、車内の見どころなどの解説にあたっている(写真39)。現在は不定期に数年に一度公開を行っているが、御料車は博物館明治村の中では見学のハードルが非常に高い展示物だが、全入館者の3割を超える見学者があり、博物館明治村にとっては大変訴求力の高いものである。一日の見学人数を制限することは行っていないため、多客時には4人程度常駐しているガイドが休む間もなく対応にあたることになる。御料車の保存と修復と活用の今後博物館明治村においては、御料車の保存・修復ともに緒についたばかりである。できるだけ御料車の持つ価値-美術・工芸・産業史など-を多角的に見学者に伝えていく必要があると考える。先に述べた「特別公開」というありかたは異例中の異例であるが、車内に入らない方でも車内の装飾が分かるような説明板を通路に設置し、見学者の興味を惹くようにしている。このように価値を伝えることを積極的に行う一方、博物館明治村での保存に対する措置としては、(1)御料車を保存する建物の環境を修景に配慮しながら整備する、(2)車内環境の定期的な点検や清掃、温湿度管理などのいわゆるIPMの2点が重要と考え実践している。(1)に関しては、建物に覆いかぶさるように生えている樹木の伐採など、日常的な樹木管理を行うとともに、建物周囲にドライエリアを設け、建物内の湿度をできるだけ低く抑える努力をする。(2)に関しては、当たり前のことばかりだが、これらを実践し、温湿度データの蓄積と分析、清掃の効果測定として定期的な浮遊菌調査などを行い、対処法の再検討を加え、よりよい御料車内の環境づくりをめざしていきたい。写真40カラーコルトンタイプの解説板博物館明治村の御料車保存と活用59