ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

著しく損ねることはないかなど、すべてにおいて初めてのことなので試行錯誤の連続であった。結局、見学者に御料車内の調度に触れることなく内部をご覧いただくという命題に対して出された答えは車内にトンネルを作ることであった。当初は車内を縦断するようなトンネル写真38御料車特別公開の様子をイメージしていたが、車両、車内に配置されている調度品、そして見学者用通路に必要な幅を考えると不可能なことが判明した。幸い5号御料車の女官室に設けられた御乗降口と6号御料車侍従室に設けられた御乗降口は隣り合っているので、それぞれに車両を横断する形でトンネルを設置し、5号御料車と6号御料車の間にはブリッジを設け、2つの車両を通り抜けるようにした(図4、写真37)。またそれぞれの車両は通常の見学通路から1mほど離れているため、通常の見学通路と車両の隙間にさらに特別通路を設置し、車内を間近にご覧いただけるようにした。車内のトンネルは自立式で、腰の高さより上は全面アクリル張りで視界を妨げず、見学者は天井画や車内の調度を至近距離で見学することができる。見学にあたっては、白手袋、靴カバー写真39御料車特別公開の様子58