ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真517号御座所の原寸大再現(一部)の様子。織物部分はすべてプリント、一部の飾金具に実物を取り付けた。照明を当てることで写真プリントでは感じることのできない光沢感が出る。5.おわりに開館して6年が経過し、少しずつ環境改善、展示活用について取り組みを始めてはいるものの、問題は山積しているのが現状である。鉄道博物館においても、現状維持が優先されて、発展的に何かに取り組めているわけではない。まず優先されるべき事柄は、環境を安定させること、そして御料車とは何かという情報を出していく努力が必要であると感じている。見えにくい車内の情報をどのように提供するか、その手法に何が適切であるかは今後十分に検討する必要があるが、車両にとって、そして来館者にとって最適な方法を模索しながら取り組んでいかなくてはならない。鉄道車両は実用の道具であるため、必要に応じて手を加えることを前提に製造されるという性格を持つ。一方、美術資料はオリジナルを尊重することを基本としているため、御料車の保存には相反する要素が内在していると言える。このように複合的な性質・価値をもつ資料に対して、どのように折り合いをつけながら処置をしていくかは、今現在も試行錯誤を繰り返しているところである。今後も皆様からのご意見やご助言を頂きながら、よりよい環境と情報発信、そして貴重な資料の保存・活用ができるように努力していきたいと考えている。参考資料・注釈『鉄道博物館開館3周年特別企画展御料車?知られざる美術品?』鉄道博物館(2010)『鉄道博物館』鉄道博物館(2007)田邊幸夫『御料車物語』レールウェー・システム・リサーチ(1986)『御料車』日本国有鉄道大井工場長(1972)星山一男『お召列車百年』鉄道図書刊行会(1973)『日本国有鉄道百年史』各巻日本国有鉄道(1969 ? 1974)『鉄道ピクトリアル』『鉄道ファン』『鉄道ジャーナル』各号46