ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

在の資料数となる。この頃、交通博物館で再現展示を計画した記録が残っているが実現はしなかった。4現在の保存・展示活用(1)保管環境について平成19(2007)年10月の開館以来、現在御料車は当館のヒストリーゾーン1階に展示されている。他の展示スペースとは隔離された専用展示室となっており、さらに内部は明治期の車両2両、大正期の車両4両の2つのスペースに分かれている。お客様にはガラス越しに観ていただき、通常、御料車庫内に来館者が入ることはできない(写真43)。温度・湿度は、明治期御料車展示室は24時間空調管理で、開館当初は温度21±1℃、湿度50±5%RHを基準値としていたが、現在は、湿度を上げたほうが良いとの指摘から、55? 60%程度を目標値に、温湿度ともに緩やかな変動となるよう調整を試みている。一方、大正期御料車展示室は、館内展示室と同じ環境(9:30 ? 17:30の9時間空調)となっており、明治期展示室に比べ湿度変動が大きい。移設前の環境に比べれば、はるかに落ち着いた環境にあると言えるが、それでも冬季の乾燥は問題となるため、6両すべてが変動の少ない、よりよい環境に展示できるようにすることが課題である。車内照明は、美術館・博物館用蛍光灯と特注の器具(熱がこもらない仕様)を使用し、最小限の箇所に設置し、なおかつタイマー設定をして、必要以上に光を当てないようにしている。また、照明の位置は時折ずらし、同方向の退色を防ぐほか、資料である絨毯に器具やコードの跡がつかないようにも心がけている。展示室自体の天井灯も同じく美術館・博物館用蛍光灯を使用していたが、平成23(2011)年2月にLED照明化を行った。照明交換の高所作業の危険性を低減することはできたが、発展途上と言われるLED照明に対し、十分な情報収集写真43現在の展示状況ガラスで仕切られた専用展示室となっている。42