ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

はじめに東京文化財研究所保存修復科学センター近代文化遺産研究室では、平成10(1998)年度から多岐・多様にわたる近代文化遺産の保存と修復に関する研究会を、毎年継続して開催してまいりました。これまでの研究会では、科学技術の進歩を代表する乗り物?船舶、鉄道、航空機?や、近代産業を支えた鉄骨及びコンクリート造などの大型構造物と機械、さらにはレコード・フィルム等の音声・映像記録メディアや近代建築に使用されている油性塗料等に焦点を当て、その現状と課題について研究してまいりました。これらの研究会は、以前から近代文化遺産の保存研究に携わられている方々と文化財保存・修復とは異なる分野の専門家の新たな交流を生み出すなど、実りあるものとなっています。平成24(2012)年度の研究会は、「御料車の保存と修復及び活用」をテーマに開催いたしました。ここでは、目覚ましい鉄道技術の発展の歴史と共に、日本の美術工芸技術の粋を尽くした御料車―皇室用客車―の室内装飾について議論が交わされました。特に、通常は紹介される機会が少ない保存・修復の事例や活用の現場からも報告をいただいたことで、多角的な議論と情報共有がなされたことは特筆すべきことであるといえます。その結果、今回はまさに複合的な要素を備える近代文化遺産を象徴するかのような有意義な研究会となりました。本書は、今回の研究会の成果を取りまとめたもので、研究会の実施および本書の作成にあたり、関係の方々に多大なるご協力、ご高配を賜りましたことに心からの謝意を表します。平成26年3月31日独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所所長亀井伸雄はじめに1