ブックタイトル御料車の保存と修復及び活用

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概要

御料車の保存と修復及び活用

写真8貴賓電車クロ157-1号れも2軸木製客車である。木製客車は走行装置(輪軸・軸受の組合せで台車と呼ばれる)と制動機を装備した台わく上に、箱状の木製車体が搭載される構造であり、これらは締結装置で相互に固定されている。台わく主構成材は木材でこれに鉄・鋼材が併用され、部材相互間においてそれらが有機的に機能するように構成されている。台わく端ばりの中央には鉤・環・螺旋(フック・リンク・スクリュー)からなる連結器が、その左右には一対の緩衝器(バッファー)が取付けられている。車体には端部に出入台を持つものと密閉型のものがあり、屋根は木製(一部鉄鋼製)部材を組立てその上に屋根板を張り、屋根布を被せて防水処理を施す。照明装置は油灯である。3.1.1サロン客車サロン客車は客室が3室の「区分室」構造で中央通路式、定員12人で客室への乗降は前後の開放式出入台からなされた。日本初のお召し列車は9両編成で、牽引機関車は番号が2(後の鉄道院形式・番号160形162号)、客車は上等車(サロン客車)1両、中等車2両、下等車5両であった8)。写真1からサロン客車には制動機が取り付けられていないことがわかる。明治初期では客車の多くが制動機を持たず、蒸気機関車と制動機付客車(緩急車・緩急荷物車等)とで列車に制動をかけた。後者には制動手が乗務し、機関車の汽笛合図で手用制動機を操作したのである。このサロン客車の主要緒元は、車体全長25 ft0 in(7,625 mm)・車体長22 ft 5 in(6,863 mm)・車体幅7 ft 3 in(2,210 mm)・屋根高10 ft11 in(3,327 mm)・固定軸距12 ft 0 in(3,660 mm)・自重5 t 10 c(5,534 kg)である。なお寸法の換算値は、1 ft=305 mm、1 in=25.4 mm、1 t=1,016 kg、1 c=45.4 kgとした7)。このサロン客車に係るその後の履歴は不明であり、現存も確認されていない。3.1.2第1号御料車(初代)第1号御料車(初代)は明治10(1877)年2月の開業式に間に合わせるため、工部省鉄道寮神戸工場で前年から製造が開始された。車体は密閉式で室内は3室に分かれ、中央が御座所、前後が次室で後次室の一端には御手洗所と御厠20