近代建築に使用されている油性塗料

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近代建築に使用されている油性塗料

質疑応答より  67以下は、平成24年2月10日に開催された研究会での質疑応答を、抜粋及び編集したものです。● 小沼景子氏の発表にて、塗膜成分分析を紹介した旧筑後川橋梁の修理記録について福岡県と佐賀県を結ぶ筑後川昇開橋(鉄道用可動式橋梁 昭和10年(1935)竣工)は、国鉄の民営化を前に廃線となった佐賀線の一部でしたが、国鉄で使用されていた当時の補修の記録やそれに関連する資料は残っていますでしょうか。平成22(2010)年度に終了した保存修理については、修理工事報告書が刊行され、そのなかで、塗装の変遷が整理されています。ですから、その根拠となるような過去の資料は残っているかと思います。資料の所在は報告書に記載されていますので、もし、特定の資料に興味がありましたら、問い合わせることができるかと思います。また、修理工事報告書は全国の図書館に所蔵されています。(小沼 景子)● 油性塗料に含まれる顔料について私は油絵の具の勉強をしていましたので建築の専門ではありませんが、現在、歴史的建造物の分野に携わっています。おそらく初期の油絵の具と同様かと思いますが、お話しされたように、初期の油性塗料に含まれる顔料は鉛ですが、その後、なぜ亜鉛系顔料が使われるようになったのでしょうか。亜鉛の油絵の具は、年月が経つと劣化しボロボロになると一般的に言われていますが、なぜ油性塗料において亜鉛を使われているのでしょうか。基本的に私は化学者でありませんから、正確なお答えはできないかもしれませんが、いわゆる絵の具もそうだったように、やはり最初、油性塗料も鉛系顔料の鉛白を含んでいました。それが亜鉛華に変わりました。この理由の一つには、鉛白の性質である毒性が関係したと思います。絵画の世界でも塗料においても、恐らく共通すると思いますが鉛毒の影響がありました。ご存じかもしれませんが、昔の女性が鉛白を含むおしろいをつけていたために、年月が経つと病気を発症した話が残っています。他の理由としては、もしかすると商業的な価格の問題もあったのかもしれません。(大澤 茂樹)● 油性塗料の特徴とその問題点について施工の際、油性塗料は乾燥に時間がかかるということは事実ですが、施工後の耐候性は劣るわけ質疑応答より