近代建築に使用されている油性塗料

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近代建築に使用されている油性塗料

塗装技術の歴史 (開発、原料、性質、反応、及び油性塗料とアルキド樹脂塗料の同定)  65ルがないため、容易に検出することができる。カオリン(Al4Si4O10(OH)8)には、同じ領域内(3690cm-1と3620cm-1)に弱いが鋭い2つのシグナルがみられる。さらに、1005cm-1と1030cm-1に2つ、910cm-1にもう1つの強い吸収帯がある。パーマネント・ホワイト(硫酸バリウムBaSO4)は、塗装材料に多く使われている添加剤である。最も強い吸収帯は1066cm-1にあり、2つのサテライト帯が980cm-1と1190cm-1にみられる。また、605cm-1と635cm-1の2つの強く鋭いシグナルも、この物質の特徴となるものである。鉛白(2PbCO3Pb(OH)2)は、しばしば伝統的な油性塗料に含まれている。2つの強い吸収帯が1395cm-1(いくぶん幅の広い)と680cm-1(鋭い)に、弱いものが1つ3535cm-1にある。骨炭(リン酸カルシウムCa3(PO4)2)は、1025cm-1にて検出されるリン酸塩のシグナルで同定できる(リン酸塩を含む骨灰も同様である)。プルシアン・ブルー(紺青C18Fe7N18)は、2085cm-1で現れる炭素-窒素三重結合のシグナルによって容易に検出することができる。この領域には、明確なシグナルが他に存在しない。その他の多くの顔料 ─ 例えば、二酸化チタン(チタン白 TiO2)、酸化亜鉛や多くの鉄顔料 ─ は、赤外線を吸収しないために検出することができない。しかし、ほとんどの場合、カオリンかチョークが混合しており、それらはIRスペクトルにはっきりと現れる。二酸化チタンは、ベースラインが900cm-1以降からは下方向へ移動し、この領域のすべてのシグナルを不鮮明にするため、同定が可能となる(図8参照)。これらの微量成分の赤外吸収シグナルは支配的であるため、バインダーのシグナルを不明確にする。それゆえに、測定装置のソフトウエアを使用して、対象となるスペクトルからバインダーやフィラーのスペクトルを減算し、解読す図10  多くの顔料やフィラーを含む自動車の車体用アルキド樹脂塗料